マリコの火傷の傷は見る見る回復して行った。
獣人族秘伝の薬と一日一回の強い治癒魔法のおかげだった。
マリコの自己治癒能力の強さもあって、通常の人間ならリハビリも含めて3ヶ月以上はかかる所を一ヶ月少したったころには全快してしまった。

 

 

獣人の医師
もう大丈夫だよ。
完治、完治、凄いねー。
動きまくっても問題なし!
いくら薬と治癒魔法が効いてたっていっても凄い回復力だよ、マリコ君は。
びっくり。

 

マリコ
ありがとうございます、先生、隊員さん。
ご迷惑をおかけしました。

 

獣人の医師
いやいや、仕事だからねー。
気にしない気にしない。

 

警備隊員
そ、そんな。
光栄です~~~~~~~。
(大仰に頭を下げる隊員)

 

獣人の医師
前から思ってたけど、君、面白いよね。
(隊員をのほんと見ながら言う医師)

 

シルビ
ホント、世話になりました先生。
おい、そこの隊員。
光栄です~、じゃねえよ。
感謝するのはこっちなんだ、少しは背筋伸ばしたらどうだ?
だから名前呼びたくねえんだよ。

 

警備隊員
ははあぁぁぁぁぁ~~~~~

 

 

さらに大仰に頭を下げる隊員を見てシルビはあきれ返ってしまった。
ここへ着てからも、この態度はずっと変わらず、また、獣人達に対しても常におびえていた。
サリムによれば、この隊員は以前からこうで何故警備隊員になったか謎の存在だったらしい。

 

 

シルビ
・・・連れてきたいぐらいの治癒能力持ってるのに、これじゃあ駄目だな。

 

 

*************************************

 

 

数日後、荷物をまとめて地下都市へと出発しようとするマリコとシルビ。
マリコは一旦デルタ村に挨拶しに行くといったが、それをシルビが適当に”これから村は忙しくなる、邪魔するな。”、などなど色々と適当に大嘘をついてりして無理矢理いくのを諦めさせた。

 

 

シルビ
じゃあ、行くぜ。
世話になったな。

 

マリコ
ありがとう、皆さん。

 

ガラドゥ
其のことなんだが・・・。
我も一緒にそなたらに付いていくことにした。

 

マリコシルビ
!!??

 

ガラドゥ
これは一族の総意だ。
我がこの一族で一番腕が立つ、其の我が行かずして誰が行く。
我が留守の間は一族の事は我が子ミデドゥと側近のサリムに任せる事になった。

 

ガラドゥの娘
任せて、お父様!

 

ガラドゥの側近
お任せを、族長!!

 

 

口々に、お任せを、ご心配なく、と言う獣人達。

 

 

マリコ
でも、ガラドゥ・・・。

 

 

驚きを隠せないマリコとシルビ。
獣人族は魔王に封じ込められたし、そもそも700年前からの因縁がある。
誰かが声を上げるかもしれないとは思ってはいた。
だが、族長自ら一緒に行くと言い出すのは想像すらしてなかった。

 

 

ガラドゥ

そういうわけだ。
そなたらには恩義がある。
それに我が一族とて魔王とは無関係ではない。
いや、この世界全ての者たちは無関係ではあるまい。
魔王が復活する、それは破滅だ。
見過ごせん。

 

 

ガラドゥの決意をこめた眼や獣人達の姿を見て、マリコとシルビはガラドゥと共に行くことにした。

 

 

シルビ
ガラドゥのおっさん、ありがてぇ・・・。

 

マリコ
ガラドゥ、ありがとう。
お言葉に甘えるわ!!

 

 

そうして、マリコとシルビ、そしてガラドゥは地下都市を目指して砂漠の皇国メイラに行くこととなった。

 

 

続く
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途中にちらほら出てくる魔物を蹴散らせながら岩山を下るシルビとサリム。

 

 

ガラドゥの側近
それにしても、魔物の数が随分と減ったものですね。
力も完全に弱まっている。
雑魚だらけですな!
これもそれも、マリコ殿とシルビ殿のおかげ!
これ、感謝極まりない!!

 

シルビ
そりゃ、どーも。

 

ガラドゥの側近
しかし、マリコ殿は気の毒です。
あのような怪我を負って、しかも、村人のどうでもいい約束まで守るとは・・・。
我が集落へ足を運ぶ約束などどうでも良いのではないのですか、あの怪我なのですから。

 

シルビ
そう言って貰えて嬉しいよ。
獣人族は話が分かるから助かる。
マリコの怪我を考えて行動してくれているしな。

 

ガラドゥの側近
それもこれも族長のおかげ!!!
族長の一声で、みなはマリコ殿を思うことが出来たのです!!!

 

シルビ
確かに、ガラドゥは凄いな。
一声で全員黙らせられるし。
・・・でも、それだけじゃないだろ、あんた達は。

 

ガラドゥの側近
何がですか?

 

シルビ
マリコを必要以上に特別視していない。
確かに特別な存在だとは思っているようだけど、なんだかんだできちんとマリコを血を流し苦しむ人間としてみている。

 

ガラドゥの側近
???
光属性の娘御とはいえ、人間。
何を当たり前なことを言っているのですか、シルビ殿は。

 

シルビ
・・・其の当たり前が通じない人間ばかりなんだよ、あっちもこっちも。
光の勇者だかんなんだか知らないが、マリコは戦えば傷つく単なる人間だ。

 

ガラドゥの側近
頭が悪いとはいえあなた方が戦った眷属という奴は相当強かったと聞きますぞ?
魔法も使えたとの事。
前衛であるマリコ殿が無傷という事はありますまい。
さっきから何を言っておるんですか、シルビ殿は。

 

シルビ
ホント、話が分かるな。
頭が下がるぜ。
マリコは無駄に強いから怪我を負う事は少ないし、怪我を負っても其の痛みを表に出すこともない。
だから、周りはマリコが怪我を負ってもあまり気にしない・・・。

 

ガラドゥの側近
そういえば・・・医師の言葉に反してマリコ殿はずいぶんと暴れましたな。
痛みを表に出さない、なるほど。
凄い怪我しているはずなのに、よくあんなにも暴れる力があるものだと感心してしまいました。
無理していたのですな、酷いことを私は考えてしまったようです。
申し訳ない。
(深々と頭を下げるサリム)

 

シルビ
・・・。
そう思うのも無理はない。
あそこまで暴れれば元気だと思っちまうさ。
馬鹿だよ、マリコは。

 

ガラドゥの側近
はあ・・・馬鹿、ですか。
まあ、ある意味あの怪我で馬鹿な行動をしたと言われればそうですな。

 

シルビ
そういうことだ。

 

ガラドゥの側近
あ、そうそう!
わたくしめの強弓と狙撃銃は非常に似てますな!!
扱い方といい、戦い方も!
シルビ殿の腕前を拝見できて嬉しいです!
すばらしい腕前・・・。
正確無比に魔物たちを撃ち抜く・・・。
しかし、この程度の魔物たちでは完全な腕前は見れませぬな。

 

シルビ
そこまで似てるか?

 

ガラドゥの側近
似てますとも!

 

シルビ
・・・。
強弓は完全な後衛。
俺は中衛だ。
少し違う。
まあ、使う奴にもよるかがな。

 

ガラドゥの側近
そんなことはありませぬ!

 

シルビ
・・・そういうことにしておくよ。

 

 

*********************

 

 

村にたどり着くシルビとサムリ
村人達と警備隊員たちがいっせいに押しかける。

 

 

村長
おお!
これはこれは、サムリ殿!
お久しぶりです。
それにシルビ殿もご一緒!
と、いうことは完全に封印が解けたというわけですな!
いやあ、お帰りが少々遅かったゆえ、心配しておりました。
・・・って、勇者様は?

 

シルビ
あんた達の約束を無理して守ったせいで傷が相当悪化した。
今は獣人族の医師に任している。
ここへは来れない。

 

村長
なんということだ・・・!
おいたわしや、勇者様・・・。
そこまでして我々を守ってくださるとはなんという素晴らしいお方だ!
さすが、光の勇者様だ!!

 

 

口々にマリコを称えて騒ぐ村人達と警備隊員達。

 

 

ガラドゥの側近
素晴らしいという状況ではありませぬぞ、マリコ殿の怪我は。
何故そのような約束を押し付けたのですか?
理解に苦しみます。

 

村長
押し付けたわけではないですぞ。
約束とはなんですか?
勇者様は私達の現状を慮って行動をして下さったのです。

 

ガラドゥの側近
慮って、ではありますまい。
止めるべきだったのです。
大怪我を負っていたのですから。

 

村長
しかし、勇者様はお約束してくださった、絶対に我々を守ると。
それに勇者様はただの勇者様ではありませぬ。
光の勇者様です!

 

ガラドゥの側近
???
意味が分からぬ。

 

女医
私もよ。
貴方達、私はマリコさんの怪我がどんなに深刻か言ったはずよ。
マリコさんを止めなかった私に貴方達を責めることは出来ないけれど・・・。

 

シルビ
あ、先生。
マリコは後遺症は残らないようです。
先生の治療と治癒魔法のおかげだそうです。
ありがとうございます先生、それと、そこの隊員も。

 

女医
・・・それは良かったわ。
(胸をなでおろす女医)

 

警備隊員
そ、そんな!!
こ、光栄でございます~~~~~~~~~~~~

 

シルビ
お前には後でついてもらってもらう。
マリコに治癒魔法をまたしてもらいたい。

 

警備隊員
へ?
で、でも魔物が・・・・・・

 

シルビ
へたれこいてるんじゃねえよ、馬鹿隊員が。
これだからありがたみが減るんだ。
これでも、本当はあんたには感謝しきれないほど感謝してるんだ。
あんたの身の安全は保障する。
帰るときも送る。

 

 

鬼のような形相で隊員をにらめつけるシルビ。
其の様子に身震いがした隊員。

 

 

警備隊員
わ、わかりました・・・!
それなら・・・・・・。

 

ガラドゥの側近
それは私が引き受けましょう。
シルビ殿の出る幕ではありますまい。
取引も再開する会議もしたいことですし。

 

シルビ
ありがてえ。
マリコを二度とここへは戻らせたくはないしな。
てか、戻らせねぇ、マリコが何を言おうともだ。
なんせ、こいつら、今度は何をマリコに頼むか分かったもんじゃねえ。

 

村長
な、何を仰いますシルビ殿。

 

シルビ
マリコはあんたらの使い走りじゃねえ。
俺達には別の目的がそもそもあるんだ。

 

ガラドゥの側近
私達獣人族がいるんですぞ、村長殿?
別段マリコ殿に頼ることもありますまい。
以前どおりに、困ったことがあれば我々を頼ってくだされば良いのです。

 

村長
で、ですが。

 

ガラドゥの側近
???

 

シルビ
そんなに光の勇者様を村で独占したいのか。
言ったはずだ。
俺達には他に目的がある、と。

 

 

シルビのあまりの迫力に顔をこわばらせる村長。

 

 

ガラドゥの側近
・・・。
そういうことです。
村長殿も・・・皆様も分かってください。

 

村長
は、はい~~~~~~~

 

ガラドゥの側近
こんなに変な村でしたかな、ここ。

 

 

村人達には聞こえないような小さな声で言うサリム。
何か、シルビが言っていたことが分かり始めたサリムだった。

 

 

続く
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マリコの怪我が順調なので、ガラドゥにマリコを頼むと言って状況を報告にシルビはいったんガラドゥの側近のサリムと共にデルタ村に戻ることになった。
マリコが一緒に戻るときかなかなかったが、ガラドゥがシルビが見えなくなるまで羽交い絞めにして村に戻ることを許さなかった。

 

そして、集落の出入り口には腕の確かな者たちをそれぞれを立たせてマリコを絶対に外に出さないよう命じた。
怪我を負ってるため無理やり獣人達の猛者たちを相手に出来るはずのないマリコは村に戻ることを諦めざるを得なかった。

 

 

マリコ
私は、もう、動けるのに。

 

 

不満をかくしきれないマリコ。

 

 

ガラドゥ
マリコ殿・・・そなた、シルビ殿のことを考えたことはあるのか?
シルビ殿が、どれほどマリコ殿を心配しているのかを。

 

マリコ
・・・。
私はシルビに何かを押し付けたりはしてないわ。
心配をかけるような真似もしてない。

 

ガラドゥ
それはそなたが勝手にそう思っているだけだ。
マリコ殿は・・・シルビ殿に甘えすぎではないか?
シルビ殿が自分の全てを許してくれる、と。
でも、そなたの行動全てを許しているわけではない。

 

マリコ
どういう意味かしら。

 

ガラドゥ
・・・。
そなたの行動は、異常だ。
異常なほど勇者である己の立場に拘っている。

 

マリコ
異常とは聞き捨てならないわ。
勇者と呼ばれる、それは私の誇り。

 

ガラドゥ
其の誇りが、度を過ぎているというのだ。

 

マリコ
そんなことありえないわ。

 

ガラドゥ
我はそなたが勇者であることを認めるわけにはいかない。
そなたが勇者なのは戦においてだけだ。

 

マリコ
なにそれ。
意味が分からないわ。

 

ガラドゥ
シルビ殿の心配は、そこだ・・・。

 

 

そのまま、ガラドゥは押し黙った。

 

 

**************************

 

 

ガラドゥの娘
マリコ、あなた変な子よね。

 

 

出会いがしら、荷物を抱えながらミデドゥはマリコにそう言った。
マリコは、少しなら、という約束で外を出歩くことを許されるようになっていた。

 

 

マリコ
何故かしら。

 

ガラドゥの娘
だって、ここまで来る必要なかったんじゃないの?
シルビだけで十分だったはずよ。
だって、状況を伝えに来るだけだったんだから。

 

マリコ
私が行く、そう村の人たちに約束したの。
だから来た、それだけよ。

 

ガラドゥの娘
それが変だって言っているのよ。
あなたも・・・村の人たちもね。
勇者だかなんだか知らないけど、おとなしく村で療養していればよかったのよ。
腕のいい医者もいるし治癒魔法を使える警備隊員もいるって聞いたわ。
なのに、来た。
意味わかんない。

 

マリコ
私は私自身の決めたことをしただけ。
村の人たちを助けると約束した、何があっても。

 

ガラドゥの娘
・・・。
村の人達が何であなたに頼りきりになっちゃったか、何か分かっちゃった。

 

マリコ
頼るのは当然よ、戦い方を知らない人達なのだから。
戦える人間が動く、当然だわ。

 

ガラドゥの娘
あなたは戦うしか脳がないの?
頼られたら全て引き受けるのが良いことだと思ってるの?

 

マリコ
当然だわ。

 

ガラドゥの娘
異常よ、あなた。

 

マリコ
さすがガラドゥの娘ね。
同じことを言う。

 

ガラドゥの娘
だって、異常だもの。
私もちらって、お父様から聞いたわ。
あなたの病状だけだけどね。
・・・。
もう一度言うわ。
あなたがそこまでする意味は、なかった。

 

マリコ
意味ならある。
私は私の誇りをかけて自らの行動を決めた。
決めたことは覆さない、それは私にとっての絶対・・・誇りだわ。

 

 

マリコは絶対の決意を持って立っている。
其の様子にミデドゥはため息を吐いた。

 

 

ガラドゥの娘
絶対って、何?
誇りって、何?
いいじゃない、大怪我したんだし。
命がけで村人を守ったんだもの、少しぐらい覆ったって問題ないわ。
誰もあなたを責めないんじゃないの?
ヘッポコ村人達だってね。
大体、その程度のことであなたの誇りが傷つくなんて変な話よ。
守るって決めたって言うけど、ここには戦いに来るわけじゃなかったんでしょ。

 

マリコ
魔物が全ていなくなったわけじゃないわ。

 

ガラドゥの娘
・・・。
これじゃあ、シルビも大変ね。
同情しちゃう。

 

 

そういい捨てて、ミデドゥはすたすたと荷物を抱えて去っていった。

 

 

続く
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ガラドゥは外に出る間際、シルビに声をかけた。

 

 

ガラドゥ
シルビ殿、少し話を良いか?
マリコ殿、しばらくシルビ殿を借りる。

 

 

一緒に診療室の外に出るガラドゥとシルビ。

 

 

シルビ
何だ、ガラドゥ。

 

ガラドゥ
マリコ殿が、あそこまでの怪我を負ってまでここまで来た原因・・・。
それは、マリコ殿自身にあると思ってな。

 

シルビ
・・・何でそう思う?

 

ガラドゥ
マリコ殿はどこか異常な気がする。
医師殿の話を聞くと、ここにくること自体が出来ないはずだと。
治癒魔法を前もってかけられたとしても、そもそも来る前から動けなかったはずだと。
なのに、なぜかここまで来た。

 

シルビ
・・・すまねぇ。

 

ガラドゥ
何故おぬしが謝る?
誰にも何も出来ない何かがマリコ殿にはある。
まるで・・・何かにとり憑かれるているようにすら感じる。

 

シルビ
・・・。
俺達は元々、魔族討伐部隊にいた・・・。

 

ガラドゥ
それは噂に聞いておったが・・・本当だったのだな。

 

シルビ
あいつは、部隊に入ってすぐに其の戦闘能力を発揮してあっという間に副部隊長に抜擢された。
次は部隊長は確定、時期将軍にとまで言われていたよ・・・。
まだ15なのに。

 

ガラドゥ
・・・。

 

シルビ
颯爽と何をも恐れず勇敢に戦場を駆ける姿に皆は圧倒され、魅了された。
勇者が誕生した・・・誰も彼もがそう思うようになった・・・。
あいつは光を持って生まれた光属性だ・・・しかも、とりわけ強い光属性・・・。
だから皆はマリコを光の勇者と呼んだ。
特別な光を持って生まれた、特別な存在・・・そう誰も彼もがマリコを崇めた。
マリコも、それに応えるかのように、さらに戦場を駆け回っていたよ・・・。

 

ガラドゥ
なるほど・・・。
確かに誇り高い娘御だ、マリコ殿は。
異常すぎるほどに・・・な。

 

シルビ
確かに異常だよ、マリコは。

 

ガラドゥ
・・・。

 

 

シルビはどこか遠くを見るかのように淡々とマリコのことを喋る。

 

 

シルビ
マリコは誰にも痛いとか苦しいとか言わねえ。
どんなことがあろうとだ。

 

ガラドゥ
そうか・・・。

 

シルビ
そう育てられたしな、師匠・・・あいつの父親に。

 

ガラドゥ
そうなのか・・・。

 

シルビ
師匠は上に立つ者としてマリコを育てた。
なんせ強い光属性を持って生まれた。
どっちにしろ周囲からは特別視される。
それもあったんだろうな、厳しく育てたのは。

 

ガラドゥ
・・・。

 

シルビ
泣き言も痛みをあらわにする事も許さなかった。
上に立つ者にそれは許されない、と。
マリコ自身もそう思ってる。
自身の弱さは決して周りには知られてはならないと心に決めている。
崇められれば崇められるほど、それは強くなっていった・・・。

 

ガラドゥ
しかし、おぬしの前では弱さを伝えられる、痛いといえる・・・というわけか。

 

シルビ
まさか。

 

ガラドゥ
マリコ殿を見る限り、そう思えるが・・・。
シルビ殿と我々との態度には明らかな差がある。

 

シルビ
俺が勝手に分かっちまうだけだ。
なんせ、あいつとは赤ん坊の頃からの付き合いだからな。
実際、痛いだろ、と言っても黙るだけだ。
黙るだけで、結局痛いとも辛いとも言わない。
あいつが物心つく前からだ。
強情だよ、まったく。

 

 

悔しそうにこぶしを強く握りしめるシルビ。

 

 

ガラドゥ
痛いだろうと聞くと、黙る・・・。
・・・。
シルビ殿・・・。
それは、そうだと言っている様なものだ、違うか?
理解してくれている者がいる、口には出せなくとも、分かってくれる者がいる・・・。
それはマリコ殿にとってどんなに救いか・・・。
言えないのは単なる癖なのだ、マリコ殿の。
どんなことがあってもマリコ殿より先に死んではならぬぞ、シルビ殿。
そうでなければ・・・マリコ殿はいずれは壊れるだろう。
マリコ殿はまだ幼い。
勇者と崇められるには、あまりにも重たすぎるのだ。

 

シルビ
・・・。
 

 

 

 

 

 

 

続く
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眼を覚ますマリコ。
それに気がつき、身を乗り出すシルビ。

 

 

シルビ
マリコ!?
俺が分かるか?

 

マリコ
当たり前じゃない。
何言ってるのよ、シルビ。

 

シルビ
・・・。
お前の怪我は深刻だったんだぞ。
まあ、お前はどんなに痛くても深くは考えないだろうがな。

 

マリコ
別に痛くないわよ。

 

シルビ
嘘は疲れるっていつも言っているぞ。

 

マリコ
・・・。
なんでそうなるのよ。

 

シルビ
とにかく絶対安静だ。
今度こそ、医者の許しが出るまでは動くな。

 

マリコ
なんでよ。

 

シルビ
あのアホ眷族を倒して結界は消えたし魔物の数も減って力も弱まった。
それに獣人族は外に出れる。
俺達が動かなくても、どうにかなる。

 

マリコ
じゃあ、魔王は!
放っておくって言うの!?

 

シルビ
・・・アホか、お前は。
特攻すればいいと思うな。
今のお前は何の役にも立たない。
自分でも其の程度のことは分かっているはずだ。

 

マリコ
・・・。

 

 

********************************

 

 

最初、挨拶したいと言ったマリコの言葉をガラドゥは断った。
医師の許しを得るまでは入室はしないと。
実際、医師は数日間はシルビ以外は面会謝絶にした。

 

 

そして三日後。
ガラドゥは入っていいという医者の許可が出た。

 

 

シルビ
ガラドゥのおっさん、入ってくれ。

 

ガラドゥ
・・・そうか。
では、失礼するとしよう。

 

 

病室に入るガラドゥ。

 

 

マリコ
治療して頂き、感謝します。
そして迷惑をおかけしました。

 

ガラドゥ
それはともかく・・・起き上がって平気なのか?
相当な火傷だと聞いた。

 

マリコ
平気です。
気にしてくださってありがとうございます、族長さん。

 

ガラドゥ
話は大方シルビ殿から聞いている。
ずいぶんと酷い目にあったようだな。

 

マリコ
酷い目になどあっていません。
こんなこと、今まで散々苦しんできた人たち、そして死んでしまった人たちに比べればたいしたことはありません。

 

ガラドゥ
・・・。
貴殿が隣の大陸で名を馳せている勇者だったとはな・・・。
女性とは聞いてはいたが・・・こんな小さな娘御だったのか・・・。
ここの大陸の者たちは貴殿のことは噂でしか知らぬ。
それにしてもデルタ村の者たち・・・。
いくらシルビ殿がついていたとはいえ噂一つで小さな娘御を戦いの場に送り込むとは感心しない。

 

 

マリコはシルビが何か余計なことをガラドゥにしゃべったのではないかと思い、シルビを軽くにらめつけた

 

 

マリコ
小さくとも私には勇者としての誇りがあります、族長さん。
苦しむ方々を見放す事など、何故出来るでしょうか。

 

ガラドゥ
しかし、ここまで来る必要はなかったはずだ。
そのような大怪我を負っていたのだからな。
何故来た。

 

マリコ
約束をしたのです。
何があっても守る、と。

 

ガラドゥ
守る・・・。
だが、それは身を守るという約束ではないのか?

 

マリコ
そうです。
ここへ来るまでも危険がありました。

 

ガラドゥ
・・・。
魔物の数も減ったし、力は弱まった。
警備隊に任せておけばよかったのだ。

 

マリコ
族長さん、私は光の勇者です。
何があっても守り抜く、そう誓った。
私は光の勇者。
それは私の誇り、私の絶対。

 

 

決意をこめた眼をしたマリコ。
そんなマリコに、ガラドゥは疑問を覚え始めた。
他の者でも出来る事を大怪我負っているのに来た、それはおかしな事だと。

 

 

ガラドゥ
族長さん・・・ではなくガラドゥでいい。
敬語もなしだ。
そなたらは一族の者ではないし恩もある。
・・・。
改めて一族を代表として礼を申す。
(深々と頭を下げるガラドゥ)

 

マリコ
当たり前のことをしただけ。
それに・・・魔王のこともあるわ。

 

ガラドゥ
・・・それもシルビ殿から聞いている。
我々が封じ込められたそもそもの原因は魔王が関わっているようだな。
理由はよく分からぬが、伝承が本当ならば考えられない行動ではないかもしれぬ。

 

 

顔を見合わせるシルビとマリコ。

 

 

マリコ
ってことは・・・なんだかんだで、少しは知っているって事よね・・・。
あ、じゃあ、地下都市って知ってる?

 

ガラドゥ
そういえば、そんなことをシルビ殿が言っていたな。
この岩山を封印した眷属が言い残したとか・・・。

 

マリコ
そうなのよ!

 

ガラドゥ
伝え聞いてはいる。

 

マリコ
どんなところ、どこにあるの!?

 

ガラドゥ
隣の砂漠の皇国メイラにある、と言い伝えにはある。
だが、それ以上はわからぬ。
700年以上前の地図はもはや存在しないな・・・。

 

マリコ
でも、メイラにあるのよね・・・じゃあ・・・!

 

ガラドゥ
(マリコの言葉をさえぎるように)
マリコ殿、またしばらく横になるがいい。
話の続きはまた今度にするとしよう。

 

 

マリコの次の言葉を待たずにすたすたと病室を出て行くガラドゥ。
これ以上会話を続けるのはマリコの体に障ると判断したためである。

 

 

続く
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マリコがさっさと岩山を登ろうとしたとき、シルビがそれを止めた。

 

 

シルビ
俺におぶされ。
それじゃあ、もう、まともに動けないだろう。

 

マリコ
動けるわ。

 

シルビ
・・・。
いいからおぶされ。
こんな岩肌を登るような道じゃあ、肩も貸せない。

 

 

実際、岩山にある道は岩肌を削って作った道で一人分の幅しかないし傾斜も酷い。

 

 

マリコ
平気よ。

 

シルビ
いいからおぶされ、足手まとい思われたくなければな。

 

 

わざと冷たく言い放つシルビ。
そういう言い方ではないとマリコを納得させらないのは分かっている為である。
優しく言ったら、逆効果になる、それをシルビはよく理解している。

 

 

マリコ

仕方がないわね・・・。
でも、獣人族の集落に近づいてきたら下りて自分で登るわ。
それは譲れない。

 

シルビ
・・・。

 

 

*************************

 

 

獣人族の集落の近くまでたどり着いたマリコとシルビ。
マリコは宣言どおり、途中から自分で岩山を登っていった。
マリコは獣人達に怪我をどうこう言われることを嫌った為だった。
そんなマリコに、シルビは複雑な感情を抱いた。

 

 

マリコ
あそこが獣人族が住んでいるっていう集落ね。
道もだいぶ広がってきたわ。

 

シルビ
あとちょっとっていったところかな。

 

 

さらに進もうとしたマリコとシルビ。
そこへ、ちょうど獣人族の少女と出くわした。

 

 

ガラドゥの娘
!!??
人間!!??
あなた達、ここへ入ってこれたの!?
何で!
どうして!
私達、どこからもこの岩山からは出られなかったのに!
取引ができなくなったのに誰も来ないし、きっと普通の人間も外からは入れないんだと思ってたのよ???

 

マリコ
もう外に出れるわよ。
岩山に結界を作ってた奴、私達が倒したから。

 

ガラドゥの娘
何ですって!!!!
あ!
皆に報告しなくちゃ!
ちょっと待ってて!!

 

 

あわただしく集落に入っていく少女。
そうこうしているうちに、獣人族たちが押し寄せてきた。
その中には族長のガラドゥも含まれていた。

 

 

ガラドゥ
私はここの族長のガラドゥと申す。
先ほどのやかましい娘は我が子、ミデドゥ。
経過は知らぬが・・・まずは岩山の結界を解いて頂いた事に礼を申し上げる。

 

 

次々にマリコとシルビを囲んで礼をする獣人達。

 

 

ガラドゥ

・・・お前達、礼をするにも態度をわきまえろ。
囲むなど、迷惑千万な行為だ。

 

 

怒鳴りはしないものの、威厳のある言葉に黙る獣人達。

 

 

ガラドゥ
この非礼は後でわびるとして・・・。
その娘御、大怪我をしているではないか。
ミデドゥ、すぐに医師に伝えよ。
診療所まで運んでいく。

 

ガラドゥの娘
!?
は、はい、お父様!

 

マリコ
大げさです、族長さん。
確かに怪我を負ってますが、大怪我などではないですよ。

 

シルビ
・・・。

 

ガラドゥ
大怪我だ。
他の誰をごまかせても、我が眼はごまかせぬ。
サリム、運べ。

 

ガラドゥの側近
ははぁっ!!

 

 

マリコが文句言う暇もなく抱えあげるサリム。
マリコはそのまま診療所まで運ばれていった。

 

 

*********************

 

 

診療所にて、マリコの治療が終わるのを待つシルビと族長のガラドゥ。
他の獣人達は帰るようガラドゥに命じられ渋々それぞれの家に戻っていった。

 

 

ガラドゥ
さて、シルビ殿といったか・・・。
あの怪我、知らなかったとは言わせぬ。
どうして連れてきた。

 

シルビ
・・・。
俺がふがいないせいだよ・・・。
言い訳はしない。

 

 

しばらくの間シルビを見続けるガラドゥ。
そうしているうちに、理由というよりも何かしらの原因があるのではと思った。

 

 

ガラドゥ
・・・そうか、何か訳がありそうだ。
強く言ってすまなかった。

 

シルビ
・・・。
訳って程のことじゃあ、ない。
謝る必要もない。
全部俺のせいだ。

 

ガラドゥ
何も知らぬから何も言えぬな・・・。
訳は・・・言うも言わないも自由だ。
無理強いはせぬ。

 

シルビ
・・・。

 

ガラドゥ
とにかく、治療が終わるのを待つとしよう。

 

 

二時間ほど経つと、どこかのほほんとした雰囲気の医師が診療室から出てきた。

 

 

シルビ
マリコは!?

 

獣人の医師
大丈夫だよ。
今は麻酔で眠っているけどね。
火傷だねぇ、あれは。
それもとんでもなく酷い。
かなり広い範囲だったから結構治療に時間かかっちゃったよ。
相当酷い炎にやられた感じだねえ。
びっくり。
まあ、一族秘伝の薬も塗ったし、きちんと療養すれば完治するよ。
後遺症も残らない。

 

シルビ
・・・よかった。

 

獣人の医師
治癒魔法をかけられたあとがあったね、そういえば。
アレがよく効いたんだね~。
それのおかげでギリギリセーフってところだね。
でも痕はちょっと残っちゃうかな。
女の子だから可愛そうだけど、こればっかりはね。

 

 

のんびりした口調で言う医師。
シルビは完治すると聞いてほっと胸をなでおろしたが、痕が残ると聞いて悔しさがにじみ出た。

 

 

シルビ
・・・そうですか。
先生、ありがとうございます。

 

獣人の医師
いやいや。
そうそう、あの子、今は麻酔で眠っているよ。
そのうち起きるから、うーんとシルビ君・・・だっけ?・・・まあいいや、中で待ってるといいよ。
起きたとき誰かいたほうが安心できるだろうからね。

 

シルビ
・・・はい、そうですね。

 

獣人の医師
そう、気落ちしない。
痕は残るけど完治はするんだ。
後遺症が残らないだけめっけもんだ。

 

シルビ
・・・。

 

獣人の医師
それにしても、あの子。
よくここまで来れたねぇ~。
普通なら歩けないよ、あの怪我じゃ。
何で歩けたのかなぁ。
というか、なんでここまで登れたのかなあ???

 

 

不思議そうに考え込む医師。
その様子に、シルビの想像以上にマリコの怪我が深刻だったことは明らかだった。
シルビがおぶって行ったとはいえ、それは途中までだ。
悔しさを胸に、シルビは診療室に入りマリコが起きるのを待つことにした。

 

 

ガラドゥはシルビの背中を見つつも何も言わなかった。
何も知らない以上は余計な言葉は投げない、それがガラドゥの主義だった。
 

 

続く
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二日後、ほとんどよくなったからと岩山に行くときかないマリコ。

 

 

女医
いくらあの隊員さんの治癒魔法や私の治療があったからといっても完治してないし、まだ横になっていなきゃいけない状態なのよ、マリコさん。
そもそも、動いちゃいけないわ。

 

シルビ
先生の言うとおりだ。
魔物は今ではここのへっぽこ警備隊でも十分どうにかなっている状態だ。
岩山は、あの警備隊でも見にける。
どうしても行きたがらない場合は・・・。
俺が一人で行ってくる。

 

マリコ
駄目よ。
私は行くと決めたし、そう約束したの。

 

シルビ
マリコ!

 

女医
・・・。
わかったわ。

 

シルビ
先生!

 

女医
シルビさん、マリコさんの目を見なさい。
あれじゃあ、とめても無駄よ。

 

シルビ
それは分かってますが・・・。

 

女医
マリコさん・・・あなたは助けたいだけなのかもしれない・・・。
でも、それはいずれあなたに大きな災厄を招くわ。
それはきちんと胸に刻んで欲しいの。
善意で人は救えない。
命は救えても、その心までは救えない事だらけなの。

 

マリコ
何が言いたいのですか???

 

女医
あなたは、幼い。
まだ分からないかもしれないけど、そういうものなの。

 

シルビ
・・・。

 

女医

ねえ、あなたは大切なのね、愛しているのね、この世界を。
守りたいのね、多くを。
そのために自ら傷ついても戦い続けている。
それは立派よ、誇っていいことだわ。
でも、それだけじゃ、駄目なの。

 

マリコ

何故ですか?

 

女医
裏切られたことはあるでしょ?
人の醜さを何度も見てきたでしょ?
あなたは何度も戦っているものね、あちらでもこちらでも。

 

マリコ
それとこれとでは、話が別だわ。
裏切るほうが恥をかくだけ。
醜さは私のものではない。
私はそんなことには負けない。

 

女医
そう・・・。
あなたは、いい子ね。
(かなしそうにマリコを見る女医。
しかし、それ以上は何も言わなかった。)

 

マリコ
お世話になりました、先生。
私、行って来ます。
じゃあ、シルビ、行くわよ!

 

シルビ
はいはい・・・。

 

 

**********************

 

 

そんなこんなで岩山までたどり着いたマリコとシルビ。

 

 

マリコ
想像以上に魔物の力は弱まったし数も減ったわね。

 

シルビ
そうだな。
ちょい、びっくり。
あいつの影響、凄かったんだなー。
・・・頭悪いやつだったけど。

 

マリコ
起動減の扉もなくなったわね
これなら入れそう・・・って、アレ?

 

シルビ
どうした?

 

マリコ
錠前が落ちてる・・・
これ、あの扉についていたものだわ!

 

 

じっくり錠前を眺めるマリコとシルビ。

 

 

シルビ
確かにこれだ。
色も形もあの悪趣味な扉と違って普通だったから覚えてる。

 

マリコ
シルビ。
また岩山に銃撃ち込んでくれない?

 

シルビ
ほいよっとな。

 

 

銃を岩山に撃つシルビ。
今度は跳ね返らず岩山に食い込んだ。

 

 

マリコ
変ね?
結界は消えたのに、錠前だけは残っている・・・。

 

シルビ
この錠前、あやしすぎるぜ。
なんせ普通すぎる。

 

マリコ
もって行きましょ。

 

シルビ
!?
何言ってるんだよお前!
もっと考えろよ!
即決過ぎるだろ!!

 

マリコ
あやしい、って行ったのはシルビよ。
ここに放っておいたら、何があるかわからない。

 

シルビ
だからって、お前なあ・・・。

 

マリコ
もって行くわ。
そして岩山を登りましょう。
獣人たちに会いに行くわ。

 

シルビ
自分に何かあってもいいのかよ・・・。

 

 

こちらに来てから、マリコは元々の性格が顕著に出ている。
シルビはマリコの力になると決めた。
マリコの背中は必ず守ると。
そして、魔王を一緒に倒す。
・・・その誓いは変わらない。
しかし、マリコが暴走し始めていることに頭を抱えはじめている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シルビ
どうしたもんかな・・・師匠・・・。

 

 

 

続く
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リルが連れてきたのは、若い女医だった。
その女医にマリコの怪我を見てもらった。

 

 

シルビ
先生!
マリコの怪我の具合はどうですか!?

 

女医
心配しないで。
最初、どういう状態だったか聞いたときはどうなることかと思ったけど・・・。
治癒魔法、よく効いていていたわ。

 

シルビ
治癒魔法がよくきいていた・・・そうなんですか!?
てっきり少ししか効いてなかったのかと・・・。

 

女医
なんだかんだでいい腕なのよ、あの人。
実は怪我人をよく魔法を使ってもらって治療の手助けをしてもらっているの。
まあ、あの人は一日一回しか魔法を使えないけど・・・それでも助かっているわ。

 

シルビ
あの野郎・・・今までそんなこと何も言わねえで・・・。
助かったけどさ・・・・・・。

 

女医
・・・。
私の治療とあの隊員さんの治癒魔法ですぐに良くなるわよ。
マリコさんは今は薬で眠らせているわ。
無理やりでも休息してもらわないとね。

 

シルビ
よかった・・・。
先生、ありがとうございます・・・。

 

女医
・・・。
酷い目にあったわね、あなた達。
私は回診で忙しくてあんまり事情を知らなかったけど・・・。

 

シルビ
・・・。
村の連中は、もう、マリコがなんでもしてくれれると思い込んでいますよ。
マリコが何でもかんでも二つ返事で引き受けちまったおかげで。

 

女医
こんなことになって・・・。
許してなんていえないわね・・・。

 

シルビ
・・・。
先生が気に病むことじゃないですよ。

 

女医
・・・。
村の人たちやここの警備隊の皆さんは、沢山の人が死んで怪我を負って・・・いつ自分が死ぬか分からなくて・・・。
そうしているうちに、少しずつ壊れていった。
人はね、辛すぎると壊れていってしまうものなの。

 

シルビ
・・・。

 

女医
辛くて辛くて辛くて・・・
どんどん恐怖が心に染み付いて、誰も助けがない状態についには諦めが心を支配していった。
そして、なぜ自分達ばかりがこんな目にと思い続けて・・・。

 

シルビ
そう、ですか・・・。

 

女医
だけど、村の人たちのこと許してなんて言わないわ。
あの人たちはあなたたちに全てを押し付けた。
こんな小さい子に危険な目を全て押し付けて良しとした。
それは許されないことだわ。

 

 

 

続く
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村では一気に少なくなり力も弱くなった魔物に、マリコとシルビの勝利を確信して大喜び。
お祭りモード。
そんな中、村に戻るシルビとマリコ。
マリコは凄まじい火傷を負いながらも、失神するどころかシルビに担がれることも断固拒絶して帰ってきた。

 

村人達や警備隊員たちが一気に押し寄せてくる。

 

 

村長
呪いの塔で、魔族に勝利したのですね!
すばらしい・・・さすが光の勇者様!!!
魔物が減って・・・この村も平穏に・・・

 

シルビ
そんなことはともかく、マリコの手当てだ!!!

 

 

そう言われて、初めてマリコの状況に気がつく村長や村人達。

 

 

村長
ゆ、勇者様、なんという酷いお怪我を!!!
なんということだ!!
早く治療せねば!!!!
誰か、医者を連れてこい!

 

警備隊員
あ、俺・・・少しの治癒魔法なら・・・。

 

シルビ
!!!???
そういうことはさっさと言え!
あああ、まあいい、さっさとマリコを治癒しろ!!

 

警備隊員
は、はい~~~~~

 

 

治癒魔法をマリコにかける警備隊員
少しずつだが、マリコは痛みが引いていくのが分かった。

 

 

警備隊員
お、俺の魔力ではこれが精一杯です~~~
も、申し訳ないです、完治できないで!
あわわわわ~~~~

 

マリコ
とんでもないわ。
ありがとう。
これだけ回復できれば十分よ。

 

シルビ
(マリコの言葉をさえぎりながら)
医者をすぐに連れてきてくれ、残りの治療をさせてもらう。

 

マリコ
私は平気よ。

 

シルビ
平気とか、よく言える。
全然治ってない。
とんでもない顔色してるんだぞ、お前。
お前は黙って治療を受けろ。

 

 

実際、シルビの肩は借りたが担がれるのは断固拒絶した所為もあり、マリコの顔は青白くなり、唇も紫がかって非常に危険な状態だった。

 

 

マリコ
・・・。
そうね、そうさせてもらうわ。
村長さん、お願いできるかしら?
(村人達の手前おとなしくうなずくマリコ)

 

村長
は、はい!
呼べ呼べ呼べー!!!

 

リム
お医者様なら回診中だけど・・・

 

村長
そんなの放っておいて、すぐ来るようにしろ!
連れて来い、リム。
状況を見て物を言え!!
勇者様の一大事だぞ!!

 

リム
は、はい!

 

 

走っていくリム。

 

 

マリコ
そんなに急ぐ必要はなかったのに、村長さん。
私はさっきの隊員さんの治癒があって楽になったのだもの。
後回しでよかったのに。
(微笑むマリコ)

 

シルビ
・・・。

 

村長
それはなりませぬ、勇者様!
我々を救ってくださった方にそんな無礼は許されませぬ!

 

シルビ
・・・。
なんだかなー。
(苦虫をつぶしたような顔をするシルビ)

 

村長
そ、それですな、塔の魔族は・・・

 

マリコ
安心して、倒したわ。
彼を倒せば結界が消えるって、本人も言っていたから岩山の結界はなくなっているはずよ。

 

 

おおおおおーーーーーと喚起の声を上げる村人達と警備隊達。

 

 

シルビ
行けばすぐ分かる。
誰か岩山に確かめればいい。
魔物の力も弱まったし、数も減った。

 

 

一斉に視線を浴びる警備隊。

 

 

警備隊員
し、しかし、なんかまだ何かあるやも・・・(ごにょごにょごにょ)

 

マリコ
安心して、治療を受けたら私達が見に行くわ。

 

シルビ
・・・マリコ!

 

マリコ
私はそのためにいるの。
大丈夫よ。
絶対解決させる!

 

警備隊員
勇者様・・・!

 

村長
すばらしいお方だ!!

 

シルビ
マリコは怪我をしているんだぞ。
(村長をにらめ付け、強く言うシルビ)

 

村長

(シルビの迫力に思わず後ずさりをする)

 

マリコ
治療を受ければきちんと動けて戦えるわ。
何の心配もないわ。
任せなさい。

 

シルビ
マリコ・・・!

 

マリコ
私は決めたことは最後まで成し遂げる。
シルビ、嫌なら降りなさい。

 

シルビ
・・・降りるかよ。
(あきらめたように言うシルビ。其の言葉には悲しさがにじみ出ている)

 

 

 

続く
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呪いの塔にち近づくにつれて増える魔物たち。

 

 

シルビ
すんげーな、これ。
向こうじゃ、一個中隊で相手にする数だぜ。
力の強い魔族いるのは確実だな。

 

マリコ
しかも塔に近づくにつれて強くなっているわ、こいつら。
何かどんどんレベルが上がっていってる、私。

 

シルビ
同じく。

 

 

(とか言いながらどんどん魔物を蹴散らせていくマリコとシルビ)

 

 

シルビ
さすが一騎当千とか言われてるだけあるなー、マリコ。
強い強い。

 

マリコ
軽口たたいてないでよけいなの撃って。

 

シルビ
はいはい。
一気に塔まで行きますかってな。

 

 

(息のあったコンビプレイで強い魔物たちを圧倒するマリコとシルビ。そして一気に塔までたどり着き最上階まで駆け上がる)

 

 

************************

 

 

ノーティの使い魔
大変デス、ノーティ様!!
勇者タチガ、凄イ勢イデコノ塔ニヤッテキテマス!!!

 

ノーティ
だーかーらー、来たってところで無駄ださ!
俺様は、なんと言っても眷属!!
魔王様直々のな~!

 

 

(その瞬間ドアが蹴り壊される)

 

 

マリコ
やっぱり、魔王が関わっていたのね!!
あなたは何!
眷属ってどういうこと!!
岩山に結界張ったのはあんた!!??

 

ノーティ
言われて答える馬鹿がいるかってぇの~
あー?勇者様だあ?
獣人たちをも封じ込めた俺様だ!
そんなノーティ様に敵うでも思っているのか、勇者!

 

 

(びしっとシルビを指差すノーティ)

 

 

シルビ
ほう、じゃあ、やっぱりあの扉はお前のしわざっと。
・・・それと・・・あー、勇者はこいつね。
(マリコを指差す)

 

ノーティ
はあ?そんなちびがかあ???
よけいかないっこねーぜ☆

 

マリコ
結界の解き方を教えなさい!

 

ノーティ
だーかーらー
教えるかってーの。
あれはこの俺様を倒さなきゃ消えないんだぜ。
無駄無駄無駄~☆

 

シルビ
ほー。
お前を倒せば結界は解けるってことか。
・・・。
(ぼそっ)結局全部喋ってやがるコイツ、やっぱり頭悪いヤツだったなっとな。

 

マリコ
じゃあ、遠慮なく倒させてもらうわ!

 

ノーティ
無駄って言ってるだろ♪

 

ノーティの使い魔
ノーティ様、ヨクアノ娘ヲミテクダサイ。
光ノオーラガ!
間違いなく、光属性ノ娘。
シカモ、強イ光ヲ持ッテイマス!

 

マリコ
そういうことよ!
シルビ、雑魚は任せた!!

 

シルビ
あいよ。

 

一気にノーティに切りかかるマリコ。が、ノーティは持っている鎌で受ける。

 

ノーティ
な、なんだなんだ。
いきなり!!

 

マリコ
!?
私の剣を防いだ、やるわね!!

(間髪いれず襲い掛かる)

 

ノーティ
うわ!!!
このノーティ、様、が、、、、、ぐぎぎぎぎぎ・・・どりゃああああ

 

シルビ
へぇ、やるなあ・・・あいつ。
(銃で器用にノーティを加勢しようとしている魔物を撃ちながら、ノーティがマリコと打ち合ってるのに感心する。)

 

ノーティの使い魔
アアアア、ノーティ様アアアア!

 

マリコ
くっ!
どりゃああああああ

 

 

柔とスピードの剣術のマリコと見掛けによらない技量と馬鹿力を繰り出すノーティ
力で押そうとしようとしているノーティの鎌を受け流しつつ懐に入る隙をうかがうマリコ
間合いはどうしても長い鎌を繰り出すノーティが有利。
しかし、其の有利性も、マリコのスピードにはなかなかうまく行かず、イラつくノーティー。

 

 

ノーティ
くそっ!
小娘が調子に乗ってるんじゃねええええええ

 

 

凄まじい勢いで鎌を振り下ろすノーティ。
それを狙ってたかのようにマリコはノーティの鎌をかいくぐり剣を繰り出すが、ノーティは鎌の柄で押し戻す。
其のとき、間髪いれずノーティに加勢してマリコを襲おうとした魔物がいたが・・・

 

 

シルビ
ほらよっ

 

 

シルビが其の魔物を撃ち抜く

 

 

マリコ
助かったわ、シルビ!

 

シルビ
ども~

 

 

押し戻されても凄まじいスピードでノーティに剣を繰り出すマリコ。
ノーティも負けずとマリコの剣を受ける、が、マリコに受け流されうまくいかない。
繰り出す鎌をいちいち受け流されてイラつくあまり、ノーティはマリコの汗に気がつかない。

 

 

マリコ
やるわね!
私の剣戟についてくるなんて・・・!!!

 

 

まるで自分が有利かのように振舞うマリコ。
しかし、顔には出さないがマリコはノーティの鎌を受け流しているとはいえ其の馬鹿力の為に完全には鎌の威力を殺しきれていないために疲れが出始めている。

 

 

ノーティ
このやろう!!!
(鎌を振り回すノーティ、振り回しているだけに見えるが、それは正確にマリコの急所を狙っている。)

 

 

受け流すので精一杯になりつつあるマリコであったが、冷静に振舞う。

 

 

シルビ
あんなにマリコがてこずるなんて・・・マリコにまともに打ち合えるの師匠だけだと思ってたんだがな・・・。
ここの魔物連中も無駄に強いし。

 

 

顔は余裕一杯だが、その実、シルビはノーティーに加勢しようと躍起になっている魔物のスピードに必死で対応して銃を撃っているために肝心のノーティに銃を撃つ暇がない。

 

 

マリコ
くっ!!

 

 

とうとう、後ろに引き戻されるマリコ。
しかし、顔には焦りは一切見せない。
一方のノーティは顔に悔しさを滲み出し、マリコのスピードと、とどめを刺せない自分にいらだちを覚え始めている。
また、マリコの剣を繰り出す顔があまりに鬼のような形相な為に本当は自分が有利であることに気がつかない。

 

 

ノーティ
この!

 

 

マリコが後ろに弾かれた瞬間、怒りでノーティは呪文を唱え・・・

 

 

マリコシルビ
魔法!!

 

 

大きな炎がマリコとシルビに繰り出される。
マリコとシルビは勢いよく、横に飛び炎をよける・・・が、遠くにいたシルビは無傷だが、近くにいたマリコは完全には避け切れず炎を受けて倒れる。

 

 

シルビ
大丈夫か、マリコ!!

 

マリコ
この程度、かすり傷にもならないわ!

 

 

シルビから見れば強がりにしか見えず、実際マリコは右肩から腕にかけて重傷を負っている。
やはり傷みを顔には見せないマリコだが、右肩からは大きな火傷跡が見え、血も流れている。

 

 

ノーティ
どうだ!
これが俺の実力だぜ!!
ヘッポコなんていうからそうなるんだ!!
(すぐに攻撃に移せばいいものを、無駄に威張っている)

 

 

マリコ
ふんっ!!
魔法使える程度で威張ってるんじゃないわよ!!!!!!!

 

 

勢いよく立ち上がるマリコ。
肩からはさらに血が多く流れた。

 

 

ノーティ
つ、強がってるんじゃねえ!
血ぃ流してる分際で!!

 

 

実際、痛みは強烈で通常の人間なら痛みで意識を失っうような怪我を負っている。
だが、マリコは痛みなどないような振りをして怪我をかばうことなく剣を握り仁王立ちをしている。

 

 

シルビ
・・・。

 

ノーティ
この小娘があああああ

 

 

再び呪文を唱えようとするノーティだったが・・・

 

 

マリコシルビ
させるか!

 

 

マリコはノーティに一気に猛ダッシュして間合いを詰め、シルビはノーティを援護する魔物を撃ち抜く。

大怪我を負っているとは到底思えない剣戟を繰り出すマリコ。
それに驚き防戦一方になったノーティ。
だが、見かけはどうあろうと、大怪我を負っているマリコは大きく不利で、どんどんノーティに押されていく。
そして・・・マリコの剣が大きくはじかれ、其の隙にノーティは鎌を無駄に振りかざす。

 

 

ノーティ
とったぜ☆

 

マリコ
!?
余裕ぶっこいてるんじゃあないわよおおおおお!!!

 

 

マリコはノーティの無駄に大きく振りかざした鎌の下を猛ダッシュでかいくぐり思いっきりノーティに切りかかったが・・・

 

 

ノーティの使い魔
ノーティ様、危ナイ!!!
(ノーティを庇うポッポ)

 

マリコ
!?

 

ノーティの使い魔
ア~、私ッテ結局コウナル運命ダッタノデスネ・・・。
(悲しみを胸にノーティを庇い絶命するポッポ。)

 

ノーティ
ポッポ!!??
(驚いてポッポを見つめる)

 

ポッポの行動に驚き、大きく隙を見せるノーティ。
其の隙を見逃さず、問答無用でノーティを切り裂くマリコ。

 

 

ノーティ
こ、この・・・ひきょうなあああああああ!!!
ぐはあああああああ
(胸から血を出してばたりと倒れるノーティ)

 

シルビ
(周囲の魔物を撃ちながら)
卑怯な、じゃねえよ。
何があっても隙を作ったら負けだよってな。
だいたい、無駄に鎌を大きく振り上げてるんじゃねーよ。
あれ、切ってくれって言ってるぐらい大振りだったぞ。

 

マリコ
・・・。
一応聞いておくけど、魔王は何をしようとしているの、なぜ復活しつつあるの?
教えなさい。

 

 

剣をノーティに向け問いただすマリコ。
肩からは流血がとまらない。

 

 

ノーティ
ごふっ!
誰が教えるか!!
(血を吐きながら強がるノーティ)

 

シルビ
お、魔物が減ってきた♪

 

ノーティ
ふん、どうせお前らは魔王様にたどりつけっこないぜ・・・!
お、おまえた・・・ち・・・は、ど、どうせ・・・地下都市・・・で滅びる運命・・だ・・・ぜ・・・・・・
(がくんとついに絶命するノーティ)

 

シルビ
地下都市???

 

マリコ
何かしら、それ?

 

 

首をひねるマリコとシルビ。

そんな中、ノーティが倒されたと同時に魔物が消えた。
そして、ノーティとポッポは黒煙を出しこの世から消えた
魔物が消え、ノーティを倒して緊張の糸が解けたのか、マリコは倒れて意識を失った。

 

 

*******************

 

 

意識を取り戻したマリコ。
その右肩から腕にかけ、包帯がぐるぐるに巻かれている。
シルビが止血止めと薬を塗って火傷を応急手当した。
マリコはシルビの肩を借りて、ようやく立っている状態。
そして、ノーティとポッポをが絶命した場所に石を積み上げ、簡単な墓を作るシルビとマリコ。
完全な闇であった彼らには遺骸は残らない。

 

 

シルビ
お前こういうところ律儀だよなあ、いつも。
其の怪我なんだし・・・それに、こんな奴らほうっておけばいいのにさ。

 

マリコ
うるさいわね・・・。

 

シルビ
・・・。

 

マリコ
・・・。

 

シルビ
(マリコの頭をポンポンとたたきながら)
じゃあ、村に戻るか。

 

マリコ
・・・うん。

 

 

 

続く
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