大魔王編(27)

そんなマリコにフェルリスは静かに声をかけた。

 

 


マリコ、貴女は自分で一人では何も出来ないと言ったばかりではないですか。

 


そうよ、何も出来ない。
でも、一人とか言っても、本当は違うわ。

 


え?

 

 

マリコは笑顔をこぼした。

 

 


この剣には世界中の人たちの力がこめられている。
この戦いは、私と世界中の人達でするの。
そして、見せ付けるの。
世界中の人々の魂のあり方を。
力が正義だと言っている、この馬鹿眷属にね。

 

 

マリコの言葉に、皆は動けなくなった。
世界中の人々の魂の在り方を見せ付ける・・・。
その言葉に・・・。

 

 


話し合いは終わったか。

 

 

刀剣を構えたまま、ベルドゥーガは問うた。

 

 


相変わらず律儀ね。

 


武人として当然だ。
それに、ドゥーガに怒られてしまう。
自分は卑劣な行為をしてもいいけど、俺はするな、だとよく言っていた。
お前も卑劣な行為をするなとか何とかでよく喧嘩したがな。

 

 

ベルドゥーガは苦笑した。
別に恨みはない。
ただ、ドゥーガを倒した者達を見ると、どうしても思い出してしまうのだ。

 

 


世迷言ね。
メッルで自分達がしたこと、忘れたの?

 


そちらこそ、世迷言を。
軍隊対軍隊だ。
わざわざ俺はメッルに駐在する軍隊と同じ数の魔族を連れて行った。

 


そう・・・普通の人まで殺したくせにね。

 


弱いから死んだ、それだけだ。

 


あんたとはかみ合わないようね。
とっととけりをつけましょうか・・・。

 


そうだな・・・。

 

 

このような状況下、何が起こってもおかしくない。
強くなければ死ぬ。
それは当たり前のこと。
死ぬかもしれない、その覚悟を持て。
それがベルドゥーガの考えだった。

 

マリコは静かに、剣を鞘から抜いた。
そこには光り輝く剣があった。
しかも、刀身そのものが光で出来ている。

 

 


!?

 


これは世界中の人たちの魂の輝き。
見せてあげる、世界中の人々の魂の強さを。

 


驚いたな・・・。
だが、こちらも負けるつもりはない!
いざ!!

 

 

その声と共に両者がぶつかり合う。
マリコはなんと、力がアップしたはずのベルドゥーガと互角に渡り合っていた。
全員が、それに驚いた。
フェルリスもまた、その一人だった。

 

刀剣を繰り出すベルドゥーガ。
それをよけると同時に剣を繰り出すマリコ。
感覚が研ぎ澄まされているのを、マリコは感じた。
刀剣と剣が弾きあい、二人は一度距離をとった。

 

 


この短期間でこれほどまでとは・・・。
俺は嬉しいぞ。

 


嬉しいと思っていられるのは、今のうちよ。

 

 

世界中の人々がマリコの感覚を研ぎ澄まさせてくれている。
マリコはそう思った。

 

ニ双の刀剣が舞うように繰り出される。
全く無駄のない動き。
避けると攻撃をほぼ同時に繰り出すマリコの攻撃を凌ぐベルドゥーガ。

 

だが、だんだんとお互いの攻撃を凌ぎきれずに血が出始めた。

 

 


マリコ!

 

 

治癒をしようとしたミランヌをマリコが制した。

 

 


やめて、ミランヌ!
これは私と世界中の人たちの思いをぶつける戦い。

 


!!

 

 

ベルドゥーガは刀剣を操る、無駄なく・・・。
だが、それをことごとくマリコは捌く。
流れるように・・・。
腕力では負ける、だからマリコは受け流していた。
今までとは比べ物にならない、美しい動きで。
マリコの動きに、荒っぽさが消えていた。

 

マリコはベルドゥーガが突進してくる、その前にベルドゥーガの動きを感じ取っていた。
そのために、よけると攻撃をほぼ同時に繰り出すことが出来、ベルドゥーガの刀剣がくるのを察知して綺麗に受け流すことが出来た。

 

両者の互角の攻防に、均衡が崩れ始めてきた・・・。
マリコが押し始めてきたのだ。

 

マリコの剣が当たり始めてきた。
ベルドゥーガは急所に貰わないように必死になり始めてきた。

 

 


くっ!

 

 

だが、怯まない。
押されようがなんだろうが、ベルドゥーガは負けるつもりはなかった。

 

それはマリコとて同じ。
負けるつもりなどない。

 

そして、目の前の男を押しているとはいえ、慢心すればその隙を付かれる。
何度も経験してきたこと。
それを繰り返すつもりは毛頭ない。

 

マリコは攻撃の手を休めない。
勝つことしか考えずに・・・。

 

そうしているうちに・・・。

 

 


ぐあああああああ!!!

 

 

急所にマリコの剣が当たった。
マリコはその隙を逃さなかった。
出来る、今の剣は常に光り輝いている、溜めは必要ない。

 

 


ソードシャイニング!!!!!

 

 

マリコの放ったソードシャイニングは、マリコ自身も驚くほどの巨大な光の刃を生み出していた。
そして、その光の刃はベルドゥーガを切り裂くだけでなく・・・

 

 


結界が・・・壊れた!!!

 

 

その状況に皆が驚いた。
黒煙に変わっていくベルドゥーガも、また同じ。

 

 


・・・これがお前たちの魂の力、か。
では俺の最後の魂の力を見せてやろう。

 

 

マリコは構えた。
ベルドゥーガは巨大なソードシャイニングを浴びて大量の出血を出して、黒煙になりつつある。
だが、油断してはならない。
アルテメシアのときを思い出せ。

 

 


魔王様・・・俺の魂を・・・謙譲・・・しま・・・す・・・・・・。

 

 

その言葉を最後にベルドゥーガは完全なる黒煙となり消えた。

 

 

続く

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