大魔王編(25)

歓声が沸き起こり、人々の心は一つになった。
それによって、ミエラの剣は光の剣へと変わった。

 

ミエラこそが、マリコの“賢者”だったのだ。

 

マリコは口を開いた。

 

 


行きましょう、大魔王の元へ・・・。

 

 

そう、行かねばならない・・・。
どれほどまでに強大な存在であろうとも。

 

 


待ちなさい。

 


え?

 


皆も貴女も、まだ疲れている。
休んでからにしなさい。

 

 

マリコはしばらく考え、そしてフェルリスの言葉に頷いた。

 

 


・・・そうね・・・分かったわ。

 

 

確かにそうだった。
マリコだけでなく、皆、肉体のみならず精神的にまいっていた。
怪我はミランヌの治癒でどうにか出来ても心まではどうにも出来ない。
万全の状態でなくては、駄目なのだ。

 

 

 

*********

 

 

 

翌々日。

 

 


皆、心の準備はいい!

 

 

全員が頷いた。
その中には生き残った精鋭部隊も含まれている。
強力な魔族達を相手にしてもなお、生き残った者達だ。
大魔王との戦いをするためには必要不可欠な存在だった。
彼らの役割は前回と一緒で、マリコ達が大魔王の相手をしているときに邪魔が入らないように他の魔族の相手をすることだった。

 

メッル・・・バルヌのことはダルメラに委ねた。
メッルには既にマリコの言葉を聞き、生き残った兵士達が集まり支持を仰ぎに来ていた。

 

それをそつなく指示を与えるダルメラ。
必要な書類を用意をするリビル。

 

今まで指揮系統がフェディールに偏っていたのを見直し、各地に隊長や副隊長を勤めていた者の中から有能な者を抜擢し、地域を区切ってそれぞれの指揮官とした。
そして、その中の最も有能者を副総司令官とした。
ダルメラは自分が去った後のことも考えてのことだった。
自分が去った後は、自分が任命した総副司令官を総司令官にすることを全員に伝えた。

 

メイラから伝書鳩が到着した。
メイラの混乱は何とか落ち着いてきたとの連絡だった。
ダルメラは心から胸をなでおろした。
信じてよかった、自分が選んだ者達を・・・。

 

メッルを出るとき、マリコはダルメラに礼をいった。

 

 


ありがとうございました、皇王様・・・。

 


いや。
礼には及ばぬ。
これは余の勤めだ。

 


・・・それではないのです。

 


ではなんだ?

 


私が弱さを認められたのは、皇王様のお言葉のお陰です。

 


余の・・・?

 


そうです。

 

 

一人夜で考えてたときにダルメラは現れて、マリコの心を見透かした。
そして、ダルメラの本当の姿。
それらがマリコの心を膿を取り除いた。

 

マリコは深々と頭を下げた。
ダルメラはマリコが何に礼を言ったかを気がついた。

 

ダルメラは心にしまっていた、誰にも言ってなかったことを言った。
マリコの葛藤を自分に重ね合わせて・・・。
礼を言われたかったわけではなかった。
しかし、マリコの心が嬉しかった。

 

 


礼を言われることではない。
それより、大切なことがある。
よいか、そなた達は必ず生きて帰るのだ。
それは、希望だ。

 


はい!

 

 

マリコは力強く頷いた。

 

マリコは以前ダルメラが言った言葉を思い出した。

 

“多くの犠牲の上での平和など、所詮砂の楼閣だ。”

 

そう、生き残らねば・・・。
砂の楼閣など作ってはならない。

 

 


じゃあ、行くとしますか。
二人の世界を邪魔して悪いけど。

 

 

シルビはにっと笑った。

 

 


世界???

 

 

マリコは意味がわからなかったが、ダルメラは真っ赤になっておろおろしだした。
リビルは流石に今はまずいと思ってシルビをにらめつけダルメラの足を思いっきり踏みつけた。

 

 


何をする、リビル!

 

 

その様子に全員が笑いをかみ殺した。
張り詰めすぎた心の糸が少しほぐれていくのを全員が感じた。

 

 

続く

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