大魔王編(20)

作戦会議が始まった。
生き残った戦士と共に。
そこにはマリコも来ていた。

 

マリコの目には泣きはらした後が見て取れた。
しかし、表情は凛として輝いている。
ダルメラは、先に聞いた話とは別人だと思った。

 

ダルメラはシルビが羨ましいと、つい思ってしまった。
マリコがどうな状況におかれても立ち直らせることが出来るのだ、シルビには。
自分には出来ない・・・。
それが辛かった。

 

一方マリコはダルメラが来てくれたことに心からホッとした。
フェディールという優秀な指揮官がいない中、どうしたらいいかわからなかったからだ。
感謝してもし切れない。

 

 


まずは、大魔王どころかベルドゥーガですらどうにもならない状況をどうするかだな。

 


どうするの?

 


分からん。

 


・・・。

 


分からないじゃはじまらねー。
考えねーことにはな。

 


もっともだ。

 

 

マリコ達の会議は、ああすればいい、こうすればいい、でもそれは駄目だろう・・・その繰り返しであった。
そんな不毛な会議の中、ダルメラが口を開いた。

 

 


そなた達には欠けているものがある。

 


それはなんですか!!??

 

 

ダルメラが驚くほど、マリコはその言葉にくいつくいた。
そんなマリコにダルメラは嬉しく思った。
頼られていると思うと胸が高鳴る。
しかし、そんなことを考えている暇はないと心の中で自制しながら言葉を出した。

 

 


“賢者”達の存在だ。

 


え?

 


ミエラ達が封印に成功したのは“賢者”達の存在のお陰だ。
その“賢者”の存在が欠けている。
それは決定的な違いだ。

 


賢者ですか・・・。
アッシャ殿が動いてくれれば・・・。

 


それはないだろう。
ここにいないということは、それは“天啓”には含まれていないということだ。

 

 

一同は沈黙した。
頼りのアッシャは“天啓”に縛られている。
ルメンシャラの意思なしでは動かない。

 

 


ルメンシャラ様は何故・・・

 

 

この局面に至って、何故“天啓”を授けているルメンシャラはアッシャを動かさないのか・・・。

 

 


アッシャは過去の存在、そして、永遠の命を持つという未来亡き者。
大魔王を倒し未来を作り上げるのは未来を持つ者の手で・・・それがルメンシャラ様のお考えでした。
だからこそ、アッシャは大魔王との戦闘には参加させないのです・・・。

 

 

その言葉に一同は押し黙った。
ダルメラだけが、分かってた風だった。

 

 


それと、貴女の力があれば出来るのも大きいでしょう。

 

 

そうフェルリスがマリコに言った。

 

 


皇王様のお言葉で思い浮かびました。
“賢者の召還”のことを・・・。

 


そんなこと、どうやってするの?
出来るなら最初からしてるわ。

 


出来ません。

 


なによ、それ!

 


そういうところが駄目なのです。

 


・・・。

 

 

少し自覚があったために黙るマリコ。
そんなやり取りに笑いをこらえながらダルメラは言った。

 

 


具体的に召還はどうやって行うのだ?

 


まずは、“己を完全に把握する”、ということです。

 


なるほど、それは簡単なようで非常に難しいな。

 


ルメンシャラ様が言うには、これはミエラにも出来なかったことだと聞きます。
ゆえに、封印で精一杯だったと。
彼も光属性でした。
光属性なら、それが出来れば真の力・・つまり己の内にある“賢者”を召還できる。
しかし、彼には出来なかった・・・己を十分把握できなかったばかりに・・・・・・。

 


己を把握か~。
まあ、それは難題だな。
マリコにはな。

 

 

そう言って爆笑するシルビ。
それに怒るマリコ。

 

 


なによそれ・・・!

 


喧嘩ならあとでしろ。
馬鹿者が。

 


・・・。

 

 

その二人の様子を微笑ましく見るダルメラ。
シルビは光だとダルメラは思った。
属性ではなく、その在り方が。
マリコにとってだけでなく、ここにいる全員にとって。
シルビの明るさは、人の心をほぐす。

 

 


喧嘩が終わったところで先に進もう。
フェルリス、己を把握するためにはどうしたらいいと思うか?

 


マリコは大魔王に負けたことを認めてはいません。
それを認めてもらうことから始めます。

 


白旗を揚げてない以上、負けじゃないわ。

 


時には負けを認める勇気も必要なのです。
諦めないのは結構。
でも、それだけでは駄目なのです。
もしかしたらミエラもそうだったのかもしれませんね。
認めることが出来なかった、今の自分には大魔王にかなわないという現実を。

 


なるほど。
中々に聡明だな、フェルリスは。

 


皇王様まで・・・。

 

 

自分を認めてくれていたと思ったダルメラまでもがフェルリスに賛同した。
それがマリコにとってショックだった。

 

 


ち、違うぞ、マリコ?
余は少しでも、マ、マリコがよりよく、その、あの・・・・・・

 

 

マリコの様子にダルメラは、実に分かりやすく狼狽した。
しかし、良い言葉が思いつかない。

 

 


・・・ミランヌ。

 

 

周囲に聞こえないよう、フェルリスはミランヌに声をかけた。

 

 


あの二人は、そういう関係なのですか?

 


いいえ、皇王様の片思いですわ。

 


ここまでおいでになったのはマリコがいたから・・・。

 


まさか。
そうでなくとも来て下さっていました。
そういうお方です。

 

 

その言葉に安堵するフェルリス。
やはり信用に値する人物なのだ、ダルメラは。
ただ、あのようにマリコのご機嫌伺いをしている姿は、あまりにも一国の主とは思えなかったが・・・。

 

 


とにかく、マリコ、貴女には特訓をしてもらいます。
“己を完全に把握する”特訓を・・・。

 


望むところよ!!

 


その意気です。

 

 

フェルリスはにっこりと笑った。

 

 

続く

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