大魔王編(10)

リゾッテ王国から隣のバルヌ王国に居城を構える魔王を目指してマリコ達は進んでいた。
すでにそこに大魔王がいることは噂でで広まっていた。

 

行く先々で魔族や魔物はあふれ出しており、しかも眷属ノーティがいた頃よりも強力になっている。
村や町では人々が襲われていて、そこに配置されている警備隊員達も苛烈を極める攻防を強いられていた。

 

それをあっという間に撃退していくマリコ達。
人々は息を呑んだ、光の勇者達・・・マリコ達の想像を絶する強さに。
マリコの強さは、もはや人なのかと疑いたくなるレベルの粋まで達していた。
シルビ、ガラドゥ、リスキン、フェルリスの強さも尋常じゃない。
それぞれの強さの他に、エルフの女性ミランヌの治癒能力にも驚いた。
一瞬で回復させる、仲間以外にもその場に一緒に戦っている警備隊員も。
エルフとはいえこんなことが出来る者がいたとは・・・。

 

人々は希望を抱いた。
これほどまでの者達なら大魔王を倒せる、と。

 

人の噂は千里を走る。
マリコ達がバルヌ王国に入る頃には光の勇者達の圧倒的なまでの強さはあっという間に広がっていった・・・。

 

 

 

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おかしくねえか?

 


何がよ。


昔は、大魔王自ら動いていたんだろう。
各地に現れては、さ。

 


それは、その場所に現れることで各国の兵器を使わせて、その場所を自らの手で壊させるためだろう。

 


ああ、そうだ。
それが目的なんだと思う。
俺たちを圧勝させるのも・・・。
強くなったって言ってもあの程度の魔物じゃあ、大量にいたところで俺たちは崩せない。
苦戦させることができるような魔族を送り込まない。

 


何が言いたい?

 


みんなの希望が膨れ上がっている。
俺達がどんどん魔族たちを蹴散らせて行くからさ。

 


なるほど。

 

 

リスキンはシルビが言わんとしている事をすぐに理解した。
リスキンは700年前のことを知っている。

 

 


どういう意味???

 


太古、人間達は絶対的に自信を持っていた巨大な兵器の数々を浴びせても傷一つつけられねえ大魔王に対して絶望した。
それを踏襲するなら・・・絶望を与えるために、希望をでかくしているのかもしれねえ。

 


それは・・・私達を圧倒的な敗北を与えることで絶対的な絶望を与えようということでしょうか?

 


そうだとしたら・・・何という・・・。

 

 

マリコは首をかしげた。

 

 


意味あるの、そんなことして?

 


意味ならある。
滅ぼしたいんじゃなくて支配したいならな。
まあ、恐怖政治ってやつだな。

 


随分と回りくどい恐怖政治だな。

 


悪趣味なんだよ、ヘルガみたいにな。
ヘルガがああなったのは人間に対する憎しみ以外に大魔王の影響もあったんだろうさ。
俺たちに世界中の希望が集まっていく、凄い勢いでな。
その上で、希望を圧倒して潰す。
そうすればあっという間に大魔王に逆らう気は失せちまうだろうさ。
まあ、そんなことさせないけどな。

 

 

続く

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