大魔王編(6)

翌日、マリコ達は事情を話し、リゾッテを離れることを王妃に告げた。

 

 


それならば、ここで特訓するといいでしょう。

 


今度は私達を標準にして魔族を放つかもしれません。
昨日も本当は私たちが目的だったのかもしれないのです。

 


いいえ。
貴女達がいてもいなくても、魔族はやってきます。
特訓をするなら、きちんとした場所が必要です。
それに我が軍を要所に兵を配置させました。
民の避難誘導の指揮をきちんと執り行えるよう、警備隊に命を下しました。

 

 

たった一日で、必要な指示を王妃は出していた。

 

 


これは元々、国王には何度もお願い申し上げていたことでしたが・・・全く動いてはくれませんでした。
ですが、今は腰抜け国王のお伺いを立てている暇はありません。
身にしみました・・・他国で起こることがリゾッテでも起こるということを・・・。

 


・・・。

 


光の勇者よ。
貴女方がいてもいなくても、我らの危険は変わらないのです。
ここで心置きなく特訓に励みなさい。
魔王に直接相対した貴女方が必要だと思っていることです。
文句を言う者は私が黙らせます。

 

 

リゾッテ王妃は微笑んだ。

 

 


ありがとうございます、王妃様・・・。

 

 

 

************************

 

 

 

マリコ達は軍の訓練場の一つを貸してもらうことになった。
兵士達は息を呑んでマリコとフェルリスの特訓を見守っていた。
あまりにもハイレベルな特訓だった。
二人とも目が追いつかない動作をしている上に、フェルリスは光の勇者であるマリコを圧倒していた。

 

 


背中がお留守になっています。

 

 

そう言って、マリコの背中を蹴り飛ばした。

 

 


ベルドゥーガなら気配を察知して今の攻撃をすぐさま跳ね飛ばしてます。
もっと、気配を感知する能力を身につけなさい。
貴女になら、その力がある。
それなのに、貴女は自分の才能に頼りすぎている。

 


・・・そんな事はないわ。

 

 

事実、マリコは幼い頃から父の苛烈な特訓を受けてきた。

 

 


そうでしょうか?
確かに貴女は鍛錬を怠らない。
でも、それだけです。
自分に何が必要か考えないで、自分の持っている部分しか鍛錬してこなかった。
違いますか?

 


 


貴女が慢心しているとは思いません。
戦いぶりを見ていれば分かります。
ですが、特訓においては慢心している。

 


言いたい放題ね。

 


では、優しい言葉を投げられたほうが満足ですか。
嘘で塗り固められた優しい言葉を・・・。

 


そんなの、余計腹立つに決まってるじゃない。
言いたい放題、結構よ!
私が苛立つのは、痛いところをつかれているからよ。

 


マリコは話が早くて助かります。
では、続きを。

 


望むところよ!
気配を感知する・・・。
集中しろってことでしょう、もっと。

 


それだけではありませんが、貴女の場合は言葉よりも実戦に近い形で体でしみこんでもらうほうが早い。

 

 

再び、二人の攻防が始まった。
今度はそこまでマリコが苦戦しなくなった。
だが、やはりフェルリスのほうが上を行く。

 

 


もっと、臨機応変に。
変化に弱すぎる。
猪突猛進ではいけないのです。

 


・・・知ってる。

 


そうでしょうね。
シルビ達からも、それは聞きましたから。
猪突猛進を変えようと努力していることを。
でも、中々うまくいかない。
だから、リスキンに動きを読まれる。

 


・・・。

 


ベルドゥーガの動きをリスキンはある程度読めていた。
マリコがベルドゥーガとよく似たタイプなのは確かです。

 


そういえば、リスキンそんなこと言ってたわね。

 


そういうことです。
頭の回転の速い者に読まれないように・・・とまでは言えませんが、読まれても捕らえられないようにしなければならない。
攻撃を与えることが出来るようにしなくてはならない。
突進して戦うのは結構。
貴女の踏み込みの速さは尋常じゃない。
動体視力も。
それを活かすのです。
それを得るためには相当な特訓を積んできたのでしょうが、それだけです。
貴女は活かすことまでは考えてなかったのではないですか?
それは才能に頼っている証拠です。

 


・・・なるほどね。

 

 

マリコはカチンときたが、確かにそれらを活かすことまでは考えていなかった。
臨機応変にと考えながらも、自分の長所のみを伸ばそうとしていた。

 

 


才能に頼るのではなく、その才能を活かしなさい。
あなたなら、それが出来る。
能力だけでなく、その心も・・・。

 

 

続く

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