妖精の森編(9)

そんなやり取りを遠くで見ながら、ドゥーガは口を開いた。

 

 


その後ろにいる狙撃銃のお兄さんがあなた方の切り札ですか?
先ほどから何か狙っているようですからね。

 


 


何をしようとしているかは分かりません。
でも、油断は出来ないようですね、そこのお兄さんにも。
先ほどの銃弾が私には何も効かなくとも。

 


・・・お見通しか。

 

 

頭が切れる上に、慢心しない。
今までの相手とは違う。

 

 


フェルリス、奴の炎は任せた。
無理やりにでも、俺とガラドゥで隙を作らせる。

 


あなたは闇の力を持っている。
あの炎はあまりにも毒。
万が一が・・・。

 


それはない。

 

 

リスキンは断言した。
根拠はない。
だが、闇の炎だろが龍だろうが、己可愛さに逃げ回ることは出来ない。
ここはドゥーガの炎をかき消すだけの力を持ったフェルリスに全てをかける。

 

 


信用している、フェルリス殿。

 

 

ガラドゥはかすかに笑みをこぼしてフェルリスに言った。
フェルリスも笑みを返しうなずいた。

 

 


どんな怪我でも治癒して見せます!
存分に戦ってくださいませ!

 


頼んだ、ミランヌ、フェルリス。

 

 

そして、リスキンは集中を高めているシルビを見た。
シルビは、唯、うなずいた。
覚悟の眼をしている。

 

ガラドゥとリスキンは一気にドゥーガに接近した。
ガラドゥは武具を外したままだった。
スピードが落ちないように・・・。

 

 


素晴らしいスピードです。

 

 

そう言いつつ急接近して攻撃を繰り出すガラドゥとリスキンに炎を作って防御しようとした。

 

 


ビッグフラワーマジック!!

 

 

その炎はフェルリスによってかき消された。

 

 


そんなことだと思ってましたよ。

 

 

炎をかき消された一瞬の隙を突くどころか、ドゥーガは一切の焦りを見せずにガラドゥとリスキンの攻撃を、先ほどと同じように杖でなぎ倒した。

 

 


まだだ!

 

 

なぎ倒されながらも、すぐに受身を二人とも取って攻撃を繰り出す。
それを、ドゥーガはやはり杖で受け流し、繰り出し、なぎ倒す。
リスキンの攻撃はわずかに効いてはいるが、フェルリスの言うとおり焼け石に水状態だ。

 

これの繰り返しでは、シルビは何も出来ない。
二人は焦りの色を見せ始めた。

 

 


隙を見せましたね?

 

 

ドゥーガは、二人の一瞬の焦りを見逃さなかった。
そして黒龍を一瞬で作り出しリスキンに放った。

 

 


ぐっ!!

 


!!!

 

 

それをリスキンをかばいガラドゥが受け止めた。
黒龍が追尾しないよう、それを握りながら。
ガラドゥの体は見る見るうちに血で染まった。
リスキンは唖然とした。

 

 


ガラドゥ!!

 

 

ミランヌは即座にガラドゥに治癒をし続けた。

 

 


リスキン、何をほうけているのですか!!

 

 

ミランヌの言葉にリスキンは我にかえった。
ガラドゥが黒龍をつかんだままの今が好機だ。
リスキンは攻撃を繰り出す。
焦るな、と自分に言い聞かせながら・・・。

 

 


頭が下がりますね。

 

 

ドゥーガは黒龍を自分の元に返した。
顔や腕には、リスキンの攻撃で血がわずかずつだが流れていた。
リスキンは、ドゥーガに大きく跳ね飛ばされていた。
受身は取ったものの、黒龍は、今、ドゥーガの手に戻っている。

 

 


あなた方の連携は素晴らしい。
その信頼関係も。
ミエラ達を思い出しますよ。
だからこそ、今ここで潰します。
絶対に。

 

 

ドゥーガはさらに大きな黒龍を出した。

 

 


全員、ここで死んでもらいます。
まず、そこの後ろにいるお兄さんから。

 


!!

 


シルビ殿!!

 

 

大きな黒龍がシルビの元へ放たれた。
だが、シルビは動かなかった。
狙われているのは分かっている。
だが、信じている。
自分は時を待つ、それだけだ。

 

 


させない!!

 

 

フェルリスは、大きな防壁をシルビの前に作った。
花の・・・。
考えられないことだった。
あまりにも強大な炎で編み出された黒龍を“花”で防ぐなど。
さすがのドゥーガも驚いていていた。
今までかき消された炎などの比ではなかったのだ、今のは。
フェルリスの力量を測っての全力の黒龍だった。
驚いたのは、ガラドゥもリスキンも同じ。

 

しかし、フェルリスの大きな力に驚いている暇はない。
チャンスを逃すな。
ドゥーガは驚いている。

 

驚いているドゥーガに一気に攻め入るガラドゥとリスキン。

 

 


ぐっ!

 

 

隙を付かれて、ドゥーガはガラドゥとリスキンの攻撃を直撃を受けた。
特にリスキンの闇の力によろめいた。

 

 


いまだ、シルビ殿!

 

 

その時を待っていたシルビは、即座にドゥーガに銃弾を放った。

 

 


そうはさせません!

 

 

ドゥーガは傷を負いながらも、すぐに強大な炎の壁を作った。
分かっていたからだ、自分がこんなことになれば、この男が何か仕掛けてくることを。

 

 


なんて反応が早い!

 

 

銃弾は炎に呑まれた。
だが・・・シルビが放った銃弾はそれを突き抜けた。

 

 


!!!

 

 

そして、そのままドゥーガの胸に突き刺さった。

 

ドゥーガは大量の血を吐いた。
シルビの銃弾は効いたのだ。

 

 


随分、悪質な切り札があったものですね・・・。

 

 

皮肉気にドゥーガは笑った。
血を吐きながらも・・・。
そして、少しずつ、黒煙を出し始めた。

 

 


愚かな人間共・・・。
このような“兵器”を作り出すとは・・・。

 

 

その言葉を最後に、ドゥーガは完全に消えた。

 

 


シルビ殿!

 


凄いですわ!

 


・・・。

 

 

仲間の感嘆に、シルビはにこりとも笑わなかった。
それどころか、手が震えている。
“兵器”そうドゥーガは言った。
まさに、シルビが使った“力”はその類のものだったからだ。

 

 


シルビ殿、今の弾は・・・?

 

 

ガラドゥはシルビの様子に、また、あの強力な魔族があっという間に黒煙を出し消えたことを気がかりに思った。

 

 


おしゃべりしている暇はないわ。
すぐにでも光の勇者の援護を!!

 

 

全員がハッと我に帰った。
そうだ、行かねば。

 

 

続く

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