妖精の森編(6)

その男がマリコに近づくと、魔物や魔族は道をあけた。

 

 


それだけの力を持っていて・・・わからんな。

 


あなたは・・・誰!
ここの妖精たちを虐殺していっているのはあなたの部下!?

 


虐殺か・・・耳が痛いな。
俺の名前はベルドゥーガ。
魔王様直属の眷属。

 


!!!

 


お前が・・・噂の光の勇者か。
なぜ、脆弱なる者共を守ろうなどと考える?
支配すればいい。
それだけの力は、貴様にはある。

 


私の力は支配するためのものじゃない!
力は正義を行うためのもの!

 


人間お得意だな。
その世迷言は。
力が強くなれば強くなるほど、その力は破壊に使いたくなるものだ。
その点を考えると、魔王様は全時代の人間どもにとっては科学力とやらを試すのには格好の口実だったのではないか。
楽しかっただろう、自分達の作り出した”力”を試せて。
まあ、そんなものが通じるほど魔王様はやわではないがな。

 


あの時代の人々は、してはいけないことをしてしまった。
でも、試すためじゃない!

 


そうかな?
強き力は、すなわち正義。
弱いということは、すなわち支配されるのみの存在。
それは人間でも魔族でも同じ。
太古の文明は科学力とやらで力関係が決まっていたぞ?
お前の言う正義は戯言だ。
愚かで弱き人間ども。
須らく魔王様の元へ下るといい。

 


人間はあなたが思っているほど弱くない!

 


まあ、貴様みたいのがいるのだ。
全部弱いとは断言せんさ。

 


違う!
そういうことなんかじゃない!
私は私の力だけで戦ってきたんじゃない。
それに、今だって・・・眷族なら知っているんでしょ?
戦う意思のある人はいっぱいいるって!!
戦っている人たちは大勢いるって!

 


戦っている、それだけだ。
戦うだけでどうにかできると思うなよ、我らが闇を。

 


絶対勝つという意思、共に戦おうという決意、それは決定的な強さとなる!
甘く見ているのはそちらのほうよ!

 


甘く見たくもなる。
俺は知っている。
他の連中は気にも留めていなかったがな。
700年前の人間どもの愚行。
守護された者たちの高慢さ。
力を“救う”とやらに使った結果。

 


知って・・・い・・・る?

 


当然だ。
俺は魔王様直属の眷属。
魔王様が封印されたとはいえ、それなりには動けた。
俺は知っている、ミエラの最後を。
ヘルガが魔王様を愛した理由を。

 


・・・!!!

 

 

ベルドゥーガは静かに刀剣を構えた。

 

 


そのようなことより・・・。
戦おうぞ・・・光の勇者よ!
1対1の対決ぞ。
卑劣なる行為はここまで。
さあ、来い!!!

 

 

そんなベルドゥーガにマリコは言い放った。

 

 


何が卑劣な行為はここまで、よ。
後ろであなたの部下たちは殺しまくってるじゃない!

 


またもや耳が痛いことを。
しかし、ここは魔王様が封印されている土地。
いざこのような時期が来れば自分達の運命も分かっていたはずだが?

 

 

そう言って、ベルドゥーガは持っていた双剣を鮮やかに繰り出し始めた。
あまりの無駄のない攻撃に防戦一方のマリコ。

 

 


その程度か、光の勇者よ。
アルテメシアを、あの女狐を殺したのだろ?
その程度ではないはずだ!

 

 

さらに攻撃を激しくするベルドゥーガ。
防戦しながらも、ところどころ血が出始めた。
双剣の攻撃があたり始めた。

 

 


その程度なら、一気に決めさせてもらう!

 

 

ベルドゥーガは一気に双剣を繰り出す。
一分の無駄もない見事な攻撃。
だが、その姿にマリコは思った。
自分は負けるわけには行かない、と。
どんな相手でも。
ダルメラは言った、自分が生きるということは希望なのだと。

 

 


どりゃああああああ

 

 

ベルドゥーガの攻撃を力ずくで弾き飛ばすマリコ。

 

 


必ず、勝つ。
あなたのその思想ごとねじ伏せる!!

 


見かけによらず、馬鹿力だな。
それに、今の攻撃をはじき返すのは・・・馬鹿力だけでは無理だ。
未熟だが、中々のものだ。
それでこそだ!!

 

 

ベルドゥーガは攻撃を仕掛ける、舞うように。
マリコは応戦する、ベルドゥーガと比べれば荒っぽいながらもスピードと技で。
しかし、実力差は歴然で、マリコはどんどん血が流れていく。

 

 


たいしたものだ・・・もう少しお前が成長してから出会いたかったな。
まあ、そんな我侭は言ってられぬか。

 


つまらないことを言ってるんじゃないわよ。
あなたはここで倒れる!

 

 

血まみれになりながらも鉄壁の精神力で剣を構えるマリコ。
負けない・・・絶対に。

 

 


その怪我で剣を構えることが出来るとはな。
たいした精神力だ。
さすがは光り輝く者。
そうでなくてはならん。
だが、精神力だけではどうにもならないことがある。

 

 

ベルドゥーガは一気に間をつめた。

 

 


言ったでしょ、倒れるのはあなただと。

 

 

一気に間をつめて全力でマリコを倒しにかかったベルドゥーガの剣を、マリコは弾き飛ばした。

 

 


!!

 

 

まともに動ける状態でないマリコが自らの最大の攻撃を弾き飛ばしたことにベルドゥーガは驚きを隠せなかった。

 

 


たいしたものだ・・・!
嬉しいぞ、俺は!!!

 

 

続く

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