妖精の森編(12)

ベルドゥーガの猛攻は止まらない。
前へ突進してくるのみだが、動きに無駄がない。
死角がまるでない。
攻撃という攻撃がはじかれる。
舞うように、ベルドゥーガは攻撃を繰り出し全ての攻撃を跳ね返す。

 

 


マリコ殿、そして、シルビ殿。
そなたらは準備しているのだ。

 


 


使いたくなくとも使え、シルビ。
信じろ、自分を・・・そして俺達を!

 


分かったわ!
私は何のことかは分からないけど、シルビを信じている!
皆、頼むわ!!

 

 

全員が、マリコの言葉にうなずく。
シルビも・・・。

 

 


マリコ、奴がわずかでも隙を見せたら、まずは俺が銃弾を撃ち込む。
その後、すぐにソードシャイニングを放て。

 

 

マリコはうなずいた。
シルビの銃弾は、刀剣も壊せなかった。
それ以上に硬いはずだ、ベルドゥーガは。
まとう闇の強烈さを見れば分かる。
だが、何か打開策があるのだ。
シルビと、そして皆の目はそう語っている。
マリコの出来ることは信じること、絶対に・・・それだけだ。

 

 


行くぞ!

 

 

どうやって隙を作るかなど、思いつかない。
だが、絶対に隙を作る。
そうでなければ勝てない。
そして、勝たなければならない。
この男をねじ伏せられずにどうやって魔王と戦うのか。

 

リスキンは自分の中の闇の力を、覚えていないカトゥーナとの戦いと同じぐらい出せねばならないと思った。
それは、さっきも、それにいつも考えていることだが一定以上になると暴走しそうになる。
自らの力をうまく扱えていなかったのは、自らの力を恐れる心がどうしてもあったことにリスキンは気がついてはいた。
だが、このまま恐れていては何も終わらない。
自分を信じなければ。
シルビに言ったように、自分も自分を信じる。

 

 


うおおおおおおお

 

 

リスキンは己のうちにある闇を更に解放させる。
限界まで・・・。

 

 

リスキン殿!?

 

 

リスキンは必死で自我を保つ。

 

 


大丈夫・・・だ。

 


・・・その力は!

 

 

カトゥーナをあっという間に倒したときと同じレベルの闇をまとっている。

 

 


これは・・・・
驚いたな。
純粋に限りなく近い闇があふれ出して来ている。
魔族の血を引いていることには気がついてはいたが・・・。
その男、スピードだけではなかったということか。

 


う・・・るさい!

 

 

魔族の血を引いている、それを言われると心が折れそうになる。
受け入れ始めているのにそれを言うな、リスキンはそう思ってしまい暴走しそうになる自分を必死に抑えた。

 

 


無理をしないでください、リスキン!

 


リスキン殿!

 


俺を信じろ!!

 


そうです、信じなさい。
リスキンは大丈夫です。

 


!!

 

 

そうだ、信じねば・・・ガラドゥとミランヌは思った。
リスキンにもフェルリスの言葉が届いた。

 

 


行きましょう!
ミランヌ、怪我は任せます!

 

 

全員が一丸となってベルドゥーガを襲う。
その中、リスキンは闇から剣を取り出した。
闇をまとった剣だった・・・。

 

 


何!!

 

 

純粋なる闇の剣。
純血の魔族でないはずのこの男からそのようなものが出てくるとは思っても見なかった。
だが、驚いている暇などない。
隙を見せるわけには行かない。
目の前の連中はドゥーガを倒したのだ。
何かしらの切り札を持っているのは当然。

 

 


お前は、なぜそちら側にいる。
それだけの闇をまとっていれば、いずれ排斥される。
人間側にいればな。

 


その時はその時だ、人間全体の思惑など知らん。
俺は俺が信じた事のために・・・そして、こんな俺を信じてくれた仲間の為に力を使う!

 

 

排斥など、今更だ。
魔族の血を引いた自分を受け入れてくれた仲間がいる。
進むべき道の迷いを断ってくれた皇王がいる。
リスキンにとって、それが全て。

 

 


その時はその時、か。
・・・なるほど。
たいした男だ、きさまは。

 

 

一気にベルドゥーガを攻め立てるリスキン。
それを援護するガラドゥとフェルリス。
二人とも、さらにスピードが上がったリスキンの動きに即座に対応した。

 

 


!!

 

 

そのあまりにも見事な連携に、必死で対応するベルドゥーガ。
明らかに、先ほどとは違う。
何が違う?
攻撃という攻撃をはじきながら、だが、リスキンの闇の剣は防いだ刀剣から闇がベルドゥーガに流れ込む。
それに必死に耐えるベルドゥーガ。
そして、全員をようやくはじき返した。

 

 


何が、変わったのだ・・・?

 

 

ベルドゥーガは疑問に思った。
おかしい、先ほどまでと明らかに全員の力がアップしている。

 

 


私の能力です。

 


なんだと?

 


私は仲間の信じる心を力に変える能力を持ちます。
ここへ来て、皆の結束が、信じる心が頂点に達しようとしている。
なれば、能力が上がるのは当然。

 

 

それにはベルドゥーガも含め全員が驚いた。

 

 


驚いている暇はありません、皆。
あなた達は私を含め仲間を絶対的に信じた。
それが、今、実を結んでいるのです。

 

 

そう言うと、再びフェルリスは一気にベルドゥーガに接近した。
ガラドゥとリスキンはそれに続いた。
ミランヌは傷ついたガラドゥとフェルリスの傷をあっという間に癒した。
そして、更にふわふわと軽やかに動きベルドゥーガを引き付け、ガラドゥはそれに呼応するように攻撃を繰り出した。
そこへきて、スピードがアップし、しかも闇の剣を握ったリスキンが攻め立てる。

 

リスキンの闇の剣を受け止めるたびに闇が侵食してくるのがベルドゥーガには分かった。
半魔族であるリスキンの闇の力がこれほどまでとは・・・。
これも、あのフェルリスという妖精の力なのか。

 

 


くっ!

 

 

かすかに、リスキンの闇の剣がかすった。
あまりにも見事な連携。
怪我を負わせたかと思ったら、後ろにいるエルフの女が瞬時に治癒してしまう。

 

焦りを覚えた。
光の勇者は参戦もしてないというのに、この体たらくとは。
ベルドゥーガは一瞬、焦りで動きが止まった。

 

シルビは、その、わずかなベルドゥーガの動揺を見逃さなかった。
そして、瞬時に銃弾をベルドゥーガめがけて撃ち込んだ。
ドゥーガをあっという間に黒煙に変えた銃弾で・・・

 

 


!!!

 

 

シルビの銃弾はベルドゥーガの頭に命中した。

 

 


な、なんだこれは・・・・・・・・・・・!!!!!!!!

 

 

ベルドゥーガはシルビの弾からにじみ出るリスキンの・・・魔族の闇とはまた“別の闇”を感じ取った。
それに苦しみもがくベルドゥーガ。

 

 


マリコ!!!

 


光よ!
私に力を・・・!

 

 

みるみるうちに今まで溜め込んだ光がマリコを包み込む。
仲間を信じきることで今までになく集中でき、マリコは内にある巨大な光を溜め込むことが出来た。

 

 


ソードシャイニング!!!!!!

 

 

マリコのソードシャイニングがベルドゥーガに直撃した。

 

 

続く

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