メイラ皇国編(完)

マリコが人々に言葉をかけた後、ダルメラは言った。

 

 


見事だったぞ、光の勇者よ。
皆の顔には希望が満ち溢れておる。
勇敢に戦おうと口々言っておる。

 

 

マリコの言葉にその場にいた全員が心を一つにした。
混乱を背負い、疲弊しきったメイラの兵も民も・・・希望を抱いた。
眼を輝かせた・・・希望で・・・。
ダルメラは思った。
マリコこそがこの世界を纏め上げる存在なのだと。

 

マリコはそんなダルメラに口を開いた。

 

 


私達はそろそろ行かねばなりません。

 


どこにだ。

 


魔王を倒しに、です。

 


封印されている場所はわかっておるのか。

 


あ・・・!

 


相変わらず特攻だな・・・お前。
調べてから行くもんだろう。
少しは成長したと思ったけど、脳みそ筋肉は変わってねえか。

 

 

そう言うとシルビは爆笑した。
他も笑いをかみ殺している。

 

 


じゃあ、どうやって調べればいいのよ!

 


わざわざ調べなくとも、知っている者がここにはおるだろう。
アッシャ殿、封印されている場所かどこだか教えてくれぬか。

 

 

アッシャに声をかけるガラドゥ。
だが当のアッシャはおどけた風に答えた。

 

 


どこっだったかしら~♪

 

 

知らないはずがない。
だが、答えてくれる気配などない。

 

 


・・・。
では、エルダ殿。
何か知らないか?

 


・・・申し訳ありません。
我がエルフ達も全てを焼き払ってしまったようで・・・当時の様子はあまり分からないのです。

 

 

エルダは内心、悲しかった。
エルフの寿命は長い。
祖父ならば、何かしら知っていたはずだった。
なのに、何も残さず逝ってしまった。
高貴なるエルフの長だった祖父が・・・。

 

ダルメラはそんなやり取りに笑みをこぼした。

 

 


調べならとおに済んでおる。

 


え!?

 

 

それには、マリコだけでなく、アッシャ以外、その場にいた全員が驚いた。

 

 


知っているのだったら、すぐに仰って下さればよいではないですか!

 


言ったら、休息も取らずにそなたらは行動に出てしまうであろう。
それはどうかと思ったのだ。
休息は必要だ。
だからだ。

 


・・・。

 


マリコはすることなすこと全て特攻ですからね。

 


・・・何よそれ。

 

 

笑いながらシルビは言い、マリコはそれに対して年齢相応のむくれた表情を見せた。
その様子に、ダルメラは複雑な気持ちを抱いた。
マリコとシルビが恋仲ではないことは、ようやく分かってはいた。
しかし、シルビがマリコが最も心を許している相手であることは確かなのだ。

 

 


魔王が封印してあるのは隣国リゾッテの首都から少し離れた樹海に位置する。
そこには妖精が住む、妖精の森と呼ばれておるところが樹海の奥深くにあると当時の資料で見つけた。
何で、そんなところに封印したのかはわからぬがな。

 


妖精の森・・・。
しかし、妖精もまた我らがエルフと同様、外の者達を受け付けませぬ。
樹海の奥深くにある自らの土地に入れてもらえるでしょうか。

 


そなたらに希望を見出したのなら、入れるはずだ。
余が、そなたらに希望を見出し全てを話したようにな。

 

 

その言葉に対しアッシャは満面の笑顔をこぼした。

 

 


私が合格を出したんだもの、平気よ~。

 

 

 

***************

 

 

 

二日後の朝、準備が済んだマリコ達はメイラから出発することになった。
妖精の住む樹海のすぐ横のリゾッテの首都まではアッシャ達が乗ってきた、The Circusで連れて行ってもらうことになった。

 

別れ際、ダルメラはマリコに声をかけた。

 

 


マリコ・・・。
全てが終わったら・・・再びこの地にもう一度足を運んでくれまいか?
そなたに・・・言いたい事があるのだ・・・。

 



それならば、今仰れば良いではないですか?

 

 

マリコらしい受け答えに苦笑しながらもダルメラは言った。

 

 


今では意味はないのだ。
それに、そんな個人的なこと、今はどうでもいい。

 


 


光の勇者よ・・・全てを終わらせるだけでは駄目だ・・・。
必ず生き残るのだ。
多くの犠牲の上での平和など、所詮砂の楼閣だ。
勇者であるならば、光り輝く存在ならば、犠牲になってはならない。
全て終わらせ・・・生きて戻る・・・。
それこそが、大魔王が倒れた後も、人々に希望をもたらす事になるのだ。

 


希望・・・。

 


そうだ、希望だ。
大魔王倒れし後そなたが生きて帰ってくる、それには意味がある。
忘れないで欲しい、それこそが希望をもたらすのだと。

 

 

ダルメラは、必ずマリコが・・・いや、マリコ達が大魔王を倒すと信じている。
そして、その後のことも考えているのだ。
本当の意味で希望をもたらすのは彼なのではないか、マリコはそう感じた。

 

 


わかりました。
必ずや生きて帰ります。

 

 

力強い言葉を返すマリコ。
そんなマリコを見てダルメラは誓った。
マリコに相応しい男になろうと。
皇王としてではなく、人として。

 

 

 

 

 

そんな光景を見ながら、ララとリビルは複雑な感情を持った。
結局最後まで、マリコは気がつかなかった。

 

 


マリコ様・・・受け入れてくださるかしら。

 


そうですね・・・。
でも、我々が根性で受け入れて頂くよう計らうのです!

 


そう・・・その通りでえすわ!
頑張りましょう、ダルメラ様の幸せのために!!

 

 

二人はダルメラの幸福の為にダルメラとマリコを結ばせることを誓った。

 

 

 

***************

 

 

 

The Circusの中で揺られながら一同はリゾッテの首都を目指した。
The Circusの中は列車の中とは思えない、豪華な作りになっていた。

 

 


今すぐにでも封印を食い破ろうとしている大魔王・・・。
封印しなおそうなんて、みんな考えてないわよね?

 


まさか。

 


倒さなければ、無意味だ。

 


また悲劇を繰り返してはなりません。

 


“百世を案じろ”という、とある偉人の言葉がある。
再び封印が出来たとしても・・・後世に遺恨を残すことになろう。

 

 

一同は決意した。
大魔王を封印するのではなく、必ず倒すことを。

 

 


まあまあ、真面目な話はおいておくとして、到着するまでパーッと楽しみましょう♪

 


さんせーい!

 


お、それはいいな。
何するか?
俺の秘儀でも見るか?

 


それ、興味ある!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


結局、マリコのやつ・・・皇王様の気持ちに最後まで気がつかなかったな。
まあ、全部終わったら、マリコに告白するって言ってるんだ。
その時が勝負かな・・・。

 

 

シルビは天を仰いだ。
そして誓った。
マリコの幸せの為にどんなことをしてもダルメラとくっつけなくてはならない、と。

 

 

続く

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