メイラ皇国編(16)

アッシャとマリコ達の戦闘は圧倒的にマリコ達の方が不利であった。

 

 


あなた達の力はその程度なの!?
そんなのじゃここから生きて出さないわよ!

 


くそっ・・・・
今までの炎とは段違い過ぎる・・!

 


当たり前だろおっさん!
相手は幾多もの魔族どころか、魔王相手にした賢者様なんだぜ。
そう容易く攻撃が当たってくれる相手じゃねーっての。

 

 

そう言いつつ、シルビは内心喜んでいた。
最初は何も考えずにただひたすら前に突っ込ぬしか知らなかったマリコが、仲間との絆で今まで以上に格段に強くなっていた。
仲間と共に戦うということの意味を知ったのだ。
ずっと一緒に居る存在だけに、その成長を自分の様に嬉しく思っていた。

 

 


誰の遣いかは知らんが、この戦いには勝たせてもらう!

 

 

リスキンは未だ自責の念は拭えない。
だが、それでも、今のリスキンの心は、今までにない大きな心の余裕が出来ていた。
スニークとして生かされ行った数々の悪行、その末の死を覚悟をしたが、光の存在はそんな自分を許した。
またスニークであった事実を伝えてもなお“自分”としての生き方の道しるべを教えてくれた皇王と言う存在。
少しだけ、少しだけ前を見つめれるようになった自分が再び後ろを向かないよう、この全ての戦いに決着を付けなければならない。

 

 


いいわね、皆いい眼をしているわ!
そうこなくっちゃ!

 


ちょっとは手加減しなさいよ!
アンタが作った空間でアンタがボスだなんて理不尽よ!

 

 

マリコは無駄口を叩いていてもその動きに一切の乱れはなかった。

 

 


そんな世迷言、魔王相手にしても言うつもりかしら!?

 

 

アッシャは赤黒く燃え盛る火柱をマリコに叩きつけるが、マリコは瞬時に避ける。

 

 


ですがこの炎の魔法、同じ炎を持つ者として尊敬の意を表します・・!

 


あら、嬉しい一言だわね♪
じゃぁ、眼に焼き付けなさい!

 

 

アッシャが指を鳴らすと無数の火球がミランヌへ降り注ぐ。

 

 


頭上からの攻撃など、我々には効かん!

 

 

ガラドゥは斧を横一文字に振り、火球を全てなぎ払う。

 

 


やるじゃない、ならこれはどうかしら!

 


!?

 

 

突如目の前に迫ってきたアッシャに防御することしか出来ず、シルビは炎の壁ギリギリの所まで蹴り飛ばされる。

 

 


うぉわ!!熱!!
この壁マジで燃えてんのかよ!?

 


誰かさんみたいに人を食べる趣味は無いけど、一度こんがり焼けてみるのも良いかもよ!

 


もらったわ!!
ソードシャイニング!!!!!

 

 

アッシャの背後をとったマリコはソードシャイニングを振り下ろす。
だが、突如地面から飛び出した幾重もの溶岩の壁に阻まれアッシャに届かずパワーは無くなってしまう。

 

 


そんな!
ソードシャイニングを防ぐなんて!

 


スキを見せたら、終わりよ!

 


!!

 

 

アッシャはマリコに近づき、マリコは攻撃されると思い咄嗟に防御する。
が、アッシャはマリコの剣を掴んでいた

 

 


これでもまだ戦えるかしら!?

 

 

アッシャの手が赤く燃え、灼熱となった手はマリコの剣の刃を根元から溶かしてしまう。

 

 


剣が!!!

 


マリコ殿!

 

 

剣が折れて動揺するマリコをガラドゥは抱え、アッシャと距離を取る。

 

 


マリコのその剣を使え!

 


え!?
でもこれって皇王様から貰った・・・

 


んな事言ってる場合かよ!
いいから使え!

 

 

シルビの横をリスキンが駆け抜ける。

 

 


俺が時間を稼ぐ!
シルビはマリコを頼む!
ガラドゥ、行くぞ!
マリコ、それと・・・・・。

 


承知した!

 


!?
ちょ、ちょっと!!

 

 

リスキンはマリコに小声で何かを言うと返事を待たずにガラドゥと共に駆けて行く。
そして、リスキンは自分の中の自分に祈る
正義の為に再び自分に力が欲しいと。
ここを抜けるのではなく、仲間を守る為に・・。

 

 


リスキン殿!?

 

 

ガラドゥは、リスキンが当のリスキン自身が嫌悪していたはずである内なる“闇”の力を使うことに驚いた。

 

 


問題ない・・・!
自分の力は自分の正しいと信じることの為に使う!

 


リスキンもやる気になったみたいね!
いいわよその眼、ヘルガに立ち向かった時の様な真っ直ぐな眼差しは好きよ!

 


1つ聞きたい、何故お前はヘルガを今まで野放しにしていた!
皇王様にも何も話してなかったのだろ!?

 

 

通常の数倍のスピードとパワーで迫るリスキンだが、アッシャは軽々と避ける。

 

 


野放しにした訳じゃないわ。
私の手で葬ってやろうと何度も考えた。
ダルメラに話そうとしたことも何度もあった。
けど・・・私に届く“天啓”は私がそれらをする事を許さなかったのよ。

 


その“天啓”に縛られ続けるのがお前の役目だとでも言うのか!

 


そうよ!
民を焼き殺し、700年前の文明の真実をも焼き払った。
その代償として永遠の命と天啓を授かったのよ!

 


!?
なんでそんなことを!

 


憎かった…
ただそれだそれだけよ。
共に戦ったみんなは、ミエラやヘルガのように殺された。
私はそこそこ力が残ってた、だから抵抗する力が残ってた。
だから返り討ちにしてやったの。
殺して殺して、殺しつくしたわ!

 


真実を焼き払ったのは、何故!?

 


ミエラたちがあんな風に殺されたなんて誰にも知られたくなかったの、愚かなことにね!
そうでなければ、私は心がもたなかった。

 

 

そういうとアッシャは炎をこぶしにため込んだ。

アッシャの炎を纏った拳がリスキンを狙うが、ガラドゥが受け止める。

 

 


しかし、そなたの目は美しく澄んでいる。
敵意ではなくまるで尊敬に値されているかの様な目だ!

 

 

ガラドゥも武装を外し、神速の動きを見せる。

 

 


ええ、まさにその通りよ!
ここまで強い勇者達は初めてだもの!
流石、ヘルガを倒しただけはあるわ!

 


おいマリコ。

 


解ってる。
使いたくないわけじゃないのよ・・・。

 

 

マリコは固く眼を瞑った。
そして、覚悟を決めたようにぐっと歯を噛み締める。

 

 


・・・解った。
でも約束して。
私の戦いの私に何も言わない、口出ししないって。

 


・・・?
あぁ・・・解った。

 


ミランヌ!
今からリスキンだけに回復魔法をかけ続けて!

 


え!?
は・・はい!

 

 

突然のマリコの指示に少し驚きを見せるも、ほぼ無傷のリスキンへの詠唱を開始した。

 

 


リスキン!

 


マリコ!

 


スキを見せたらアウト!

 

 

アッシャはリスキンの首を強く掴み、指で3つカウントする。

 

 


!!!

 


この仲間から脱落者は出ないと思ったんだけど。

 

 

だがリスキンはにやりと笑い、アッシャの身体を掴む。

 

 


俺は死なない・・いや、死ねない・・。
だが、今だけのお前は道連れだ!!

 


!!

 

 

次の瞬間、リスキンの身体を貫通してアッシャの胴体に深く剣が刺さった。

 

 


ぐふっ!!

 


リスキン!
大丈夫!?

 

 

リスキンを後ろから刺したのはマリコだった。
だがこの作戦を言ったのはリスキン自身でもあった。
アッシャの力は凄まじい。
そのアッシャに血を流させることを、自ら囮となる事で成功させたのだ。

 

 


さぁ・・・アッシャ・・。
お前に血を・・流させたぜ・・。

 


予想外の攻撃だったけど、これは確かに私の負けだわね♪

 

 

そう言うとアッシャはリスキンを離し、胴体に刺さった剣を身を引いて抜く。
するとアッシャの傷口は見る見るうちに塞がり、無傷とほぼ変わりない状態になった。

 

 


リスキン!!

 


大丈夫だ・・・。
急所は外すように言ってある。

 


でも・・・・。

 

 

マリコはいくらリスキンの願いとは言え、当然仲間を刺すことに抵抗はあった。
だが、そうしろと言った時に一瞬見せたリスキンの眼は、そうしないとまた過去のリスキンに戻りそうな、そんな雰囲気さえ感じさせるほど願いの篭った目線だった事をマリコは覚えている。
だからこそ刺したのだ。

 

最近のリスキンは・・・ひたすら償いのみで生きていたのとは違う、何か別の雰囲気が出ていたのだ。
未来を見始めている、そう思えた。
それを・・・未来を見ることを失ってほしくはなかった。

 

 


・・・・早くその剣を抜け・・・!

 


あ、ごめん!!

 

 

マリコは慌ててリスキンに刺さっていた剣を抜く。

 

 


なんと言う荒い戦法だ・・。
1歩間違えば死んでいたかも知れぬと言うのに・・・。

 


いや、マリコなら大丈夫だと思ったぜ。
剣術にゃアホほど慣れてるしな。
・・・まぁ、俺も見たとき焦ったけどよ・・。

 


でも見事だわ。
勇者とはいえ普通の人間が私に攻撃を与えたのは初めてだし。
その力、団結力もしっかりと見させてもらったわ。

 

 

アッシャはそう言うと炎の壁を解く。

 

 


うん!
あなた達ならきっと大丈夫。
でも皆、勇者様だけは大事にしてよ?

 


言われなくたって。

 

 

皆はシルビの言葉と同時に頷く。
するとアッシャは普段の笑顔に戻る。

 

 


じゃ、これにて試験終了!お疲れ様でした♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アッシャは両手を広げ、全員をその場から瞬間移動させ、バルコニーへ戻ってきた。

 

 


おぉ皆!
それにマリコ!
無事であったか!

 


無事も何も私が殺すわけないでしょ。

 


いや・・絶対に殺しにかかってきたよな

 


異論ない。

 

 

シルビとリスキンは小声で言いあった。

 

 


勇者としての資格はもう大丈夫。
胸を張ってこの方が勇者だと公言できるわよ、ダルメラ皇王。

 


お、おおそうか。
マリコ・・・よくぞ頑張った。

 


いえ・・・私一人の力では為しえない事でした。
私の力ではなく、全員の力あってこそです。

 

 

マリコの言葉にダルメラは深く頷く。
顔を赤らめながら・・・。

 

 


それでこそ・・・それでこそマリコだ。

 


・・・・・?

 

 

その様子を見ていたゾゾルダンがガラドゥに話しかけた。

 

 


・・・・よぉよぉ

 


どうしたゾルダン殿。

 


あの皇王、なんであんなチビっこ勇者様にイッっちまってるんだ?

 


・・・・・盲目なのだよ、そういう物は。

 

 

相変わらずダルメラのマリコへの愛は非常にわかりやすい。
当のマリコは全く気がついていないが・・・。

 

 

続く

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