メイラ皇国編(14)

ダルメラの計らいによって晩餐会が開かれ、客人として新たに迎えられた、
サーカス団のアッシャ、ゾルダンも加わり賑やかな晩餐会となっていた。
マージは作業が終わってから、と言って食事を後にしていた。

 

そしてララの計らいによりマリコはダルメラの隣に座ることになり、その距離にダルメラはかなり緊張していた。
しかも、マリコは自分が贈った着物と簪を身につけている。

 

 


きょ・・今日の晩餐会には新たな客人も一緒だ。
・・・皆の者、・・す・・すき・・好きな物を満足いくまで食べてくれ。

 


お、好きなだけいいたぁ有難ぇ。
長い間水ン中居た所為で食欲が出なくて腹減ってたんだ。

 

 

そう言うとゾルダンは自分の前の皿を豪快に持ち上げて全て食べてしまった。

 

 


同じ料理をもう1回もらおうか!

 


はっ、すぐにお持ちします。

 


ゾルダン殿、あまり行儀がよくないですぞ。
自由と言ってもその中でも礼儀というのがあってだな。

 


あ~ウルセェウルセェ。
楽しい食事が不味くなる説教は御免だぜガラドゥ。

 

 

そう言って笑い飛ばすゾルダン、2人の仲は会話を通してすこし知り合えてる様だった。

 

 


して・・マリコ。
その簪も着物・・・似合って・・・る・・・ぞ・・・。
どうかな、それは・・・。

 


素敵な贈り物、ありがとうございます・・・。

 

 

食べにくいし動きづらいし、気に入ってないのだが、まさか口にするわけにいかないマリコ。

 

 


そ、それでだな、今回の・・・食事は気に入ってもらえたかな?

 


は、はい。
ここ数日お世話になっている上にここまでしていただいて恐縮です・・。

 

 

実際マリコは困っていた。
晩餐会と言ってもマリコ達が居る間は非常に豪華な食事がいつも振舞われていた。
丁寧な持成しを受けたのは初めてではないが、ここまで続くのは初めてだった。
そしてまたその続く好意に恐縮してしまい、あまり食事に手をつけられなかったのも事実であった。

 

 


・・・・おい。

 

 

シルビは小声でマリコを小突く。

 

 


なによ?

 


少しは美味そうに食えって。
お前のその緊張しきった態度に皇王様も困ってるじゃねーか。

 


そんな事言ったって・・・。

 

 

するとそこに水を差すような言葉が刺さる。

 

 


でもこの料理ってさ、どっちかと言うと恋人におくる料理であって晩餐用じゃないよね。

 


・・・・・・。

 


そうなの?

 


皇王様にとって勇者様は特別な存在。
せめて食事でもと我々が敬意と感謝をこめてお作りしました。

 


!!

 

 

直球の発言に思わずララを見るダルメラ。
しかし、マリコはその”特別”を自分が勇者という存在という意味と思った。

 

 


そうだったんだ・・じゃあ美味しくいただかないとね。

 

 

マリコはそういうとようやく“普通に”食事を口に運んだ。

そして一同は思った。

 

 


(やっぱり気付いてない・・・・。)

 

 

そうこうしながら楽しくもすこし距離のある食事をしてしばらくしていた時だった。

 

 


みなさーん!サーカスの用意が出来ましたよー!
どうぞ広場へ集って下さーい!

 


お、いよいよか。

 

 

マージの声に食事を終えていた皆は揃って広場に集った。

 

 


このセットは・・・。

 


これをあの少女が一人でやったというのか?

 


これは素晴らしい。
数時間で完成させたとは思えないですね。

 

 

そこに広がっていたセットはおよそすぐに作ったとは思えない豪華なサーカス場だった。

 

 


皆様お待たせ致しました。

 


は~い♪
紳士淑女の皆様、これより私アッシャが送る最高のショーをご覧下さ~い!

 

 

アッシャの声と同時にリズミカルな音楽が流れ、遠くから花火が何発も撃ち上がる。

 

 


わぁキレイ!

 


すげぇ・・・!!

 


これは・・・。

 

 

それぞれが感動している中、ダルメラは未だに緊張していた。

 

 


ダルメラ様、今が好機です。

 


さぁ光の勇者様の手を握るのです!

 

 

二人は花火の音でダルメラにしか聞こえないように言う。

 

 


う・・うむ・・よし・・。

 

 

ダルメラは意を決してマリコに近寄り、手を伸ばそうとする。
だが、

 

 


ゾルダン、ファイヤーフラワー!

 


夜空のドラゴンブレスをとくと目に焼きつけな!!

 

 

アッシャが投げた球を投げると同時にゾルダンは空へ飛びあがり、
勢いよく炎を吹くと球が炎の閃光を放ち周囲が明るく照らされる。

 

 


こんなに近くで花火を見たの初めて!

 

 

マリコは嬉しそうに手を叩いてダルメラの手を意図せずかわしてしまう。

 

 


・・・・。

 


大丈夫です、まだ機会はあります。

 


マージ!レッツゴー!

 


はいなー!

 

 

アッシャの掛け声と同時に端から出てきたマージは沢山の動物を連れて出てきた。
そして動物達は器用に流れるメロディに併せて楽器を鳴らしていた。

 

 


動物を操れるのか!

 


動物達も楽しそうですわ。
これは見ていて癒されますわね。

 


ねね、凄いよね!
シルビも凄いと思うよね!

 

 

マリコはあまりの楽しさにふとシルビの両手を掴んで力説する。

 

 


お?
お、おう、俺もこんな派手なサーカスを見るのは始めてだからな。

 

 

自分じゃなくてダルメラの手をつかめ、と思うシルビ。

 

 


光の勇者様、楽しんでいただけているご様子で♪

 


だってこんなに凄いの初めてだもの!

 

 

嬉しそうに言うマリコ。

 

 


・・・。

 

 

ダルメラは思った。
やはり勇者と言ってもまだ年端も行かない少女だと。
自分にはなかった幼い頃の純粋な“楽しさ”を彼女は今楽しんでいる。
その喜ぶ姿にダルメラは純粋に愛おしいと見ていた。

 

 


このような催しを用意して下さった方にも感謝しないといけませんわね♪

 

 

ララはそう言うとダルメラに目で合図を送る。

 

 


た・・楽しんでくれているようで何よりだ、マリコ。

 


あ・・皇王様。

 

 

ダルメラの姿を見るとマリコはいつも通りの表情をへと戻り、姿勢を正しくしてしまった。

 

 


あ・・楽な格好で楽しんでもらって・・か、構わないぞ?
余もこ・・このような・・盛大な催しはとても楽しんでいるから・・な。

 

 

マリコが隣に居ると言うだけで緊張しカタくなってしまうダルメラ。
そんなダルメラを見てマリコは余計に“いつも通り”になってしまう。
そんな2人をみてシルビは思わず仲を取り持とうとする。

 

 


あ、俺も凄く楽しんでますよ!
どうしたマリコ、さっきみたいに一緒にテンション上げようぜ?な!?

 


・・楽しんでもらえて何よりだ。

 

 

ダルメラは優しい微笑みをマリコに返す。
だがマリコはその表情を自分が無理にさせてしまったと思ってしまう。

 

 


・・・すみません、気を遣わせてしまい・・。

 


い、いや・・・!
全然その様な事はないのだ・・・ぞ?!
マリコが謝る必要は無い、むしろ余が感謝しきれないほどだ・・!

 

 

慌ててかぶりをふるダルメラ。だがそれが余計に浮きだって見えてしまっていた。
そして楽しいサーカスショーの時間が、そして2人の距離も全く進展も見せず、流れていった・・。

 

 

 

 

 

 


は~い、以上をもちましてアッシャのサーカスショーは終了で~す♪
皆~楽しんでくれてありがとー!

 

 

アッシャの終了の声と共に皆一声に拍手を送る。

 

 


素晴らしい芸の数々で感動致しました。

 


ああ、こりゃ何度でも見たくなるぜ。
な、マリコ。

 


え?え、ええ・・そうね。

 

 

いきなりのシルビの振りに思わず生返事を返してしまうマリコ。

 

 


ダルメラ様・・。

 


ああ、解っている。

 

 

この時リビルは今一度好機、と言う意味で呼んだのだがダルメラは作戦失敗の
呼びかけだと思ってしまい、残念そうな背中を残して踵を返してしまう。

 

 


・・・私、何かしちゃったかな。

 


・・・・・・・・。

 

 

歯がゆい気持ちを心に秘めつつシルビはマリコを見つめる。

すると・・

 

 


ねぇねぇ勇者とそのお仲間さん。

 

 

アッシャの言葉に皆は一斉にアッシャを見る。

 

 


うん、皆さん♪

 

 

アッシャは嬉しそうに言う。

 

 


良かったら後でバルコニーで待っててもらえるかな?
私が旅した中で一番凄い事を教えちゃうわ。

 

 

皆は思わず顔を合わせる。

 

 


いいけど・・今じゃだめなのか?

 


楽しい事はちょっと焦らして教えたいの♪
だから~お願い!

 

 

そう言われて皆は妙な引っ掛かりを覚えながら頷いた。

 

 


解った。バルコニーだな。

 

 

リスキンの確認の言葉にアッシャは頷くと。リスキンも頷き返した。

 

 


ありがと♪
じゃあ先に戻ってて。
私も後片付けしたら向かうわ。

 

 

そう言うとアッシャは静まり返ったサーカス場へと走っていった。

 

 


・・・何なんだろう。

 


今回ばかりは我にも解らぬ。

 

 

個々に疑念を持ちつつも、皆は宮殿へと戻っていった・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、すこし離れた場所・・・。

 

 


手ごわいですわねぇ。マリコ様は。

 


ええ、ですが必ず。

 


勿論ですわ。

 

 

ダルメラを後ろで応援する二人も頷きながらマリコを見ていた。

 

 

続く

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