メイラ皇国編(8)

リスキンとのやり取りで、ダルメラは言った。
リスキンは逃げなかった、と。
リスキンは、一人の人間として逃げなかったのだ。
だからこそ、スニークとして生きてきたにもかかわらず、受け入れらたのだ。

 

ダルメラは、ようやく自分に足りないものが分かり始めてきた。
己は、確かに国民から信望されいる。
だが、それは皇王として、だ。
人間としてはどうなのであろうか、と。
己は政務ばかりで、周囲を本当に省みていたのか。

 

マリコに重責を負わせた。
何も考えずに、ミエラの剣を渡した。
それはマリコにどれほどの重圧になるか考えもせずに。
マリコが自分を皇王としか考えないのは当然である。
それを与える事がどういう意味をマリコに与えるのか、考えもしなかった。
マリコが己に、心をシルビに対してのように開かせる事が出来ないのは当然である。

 

己はマリコを愛している。
それは真実。
だが、重責を与えるばかりだった。
光の勇者としての重責を・・・。
ミエラの剣をマリコに渡す、皇王としては当然の行動だったとしても、もっと気遣わねばならなかった。

 

マリコが一人で空を眺めていたのを見ていたのを見て、ダルメラは声をかけた。

 

 


すまないな、マリコ・・・。

 

 

マリコは、唐突に声をかけられダルメラにいきなり謝られたことに驚いた。

 

 


そなたに、余は重責を押し付けるばかりだ・・・。

 


皇王様の方がよほど重責を担っております。
各国への働きかけ、メイラの過去のことも・・・。
私の背負っているものなど微々たるものです。

 

 

マリコはそう答えた。
それは、マリコの本音である。
彼は背負っているのだ、メイラの罪を。
そして、それだけではなく、世界の危機を救おうとしている。
絶対に逃げ道を作らない。
それがどれほ重い事か・・・。

 

 


そんのようなことはない。
勇者などと呼ばれる事、その肩に背負うには重過ぎる、違うか?

 


いいえ。
私は、私がなさないと思ったから戦っているのです。
勇者としてではなく。
ただ、私が勇者と呼ばれるには意味があると言われた事があります。
意味があるのなら受け入れます。
それだけです。
それは皇王様とて同じではありませんか?

 

 

考えてもなかったことを言われ、ダルメラは眼を見開いた、そして言った。

 

 


違う。
余は責務として動いておる。
そなたの覚悟とは、あまりにも違いすぎる。
情けないことだ・・・。

 


私にはそうは見えません。
責務のみで立ち向かえる相手ではないのです、大魔王は。
皇王様は、まさしく、自分の意思で戦っているのです。

 

 

ダルメラは、その強い眼差しに心を奪われ、そして言った。

 

 


余は情けない男だな。
そなたのように、まだ、幼い娘に励まされるとは。
でも、礼を申す。
そのように感じてくれることを・・・。

 

 

ダルメラは、悲しく思った。
決して重くないはずはないのだ。
だが、マリコはそれを決して表にだそうとはしない。
そう思いながら、マリコに手に持っていた物を渡した。

 

 


こ、この間渡した簪に似合う着物を用意し・・・た・・・。

 

 

顔を赤らめながらダルメラは言った。
選んだのはララだった。

 

 


こ、好みに合うかは分からぬのだが・・・そ、そうなのだ・・・

 

 

我ながら情けない手渡し方だと思いながらダルメラは言った。
娘なのだから、着飾ってもいいはずだ、そうダルメラは思ったのだ。

 

 


・・・ありがとうございます。

 

 

またのプレゼントに困るマリコ。
着飾るなど、歩くのに不便である、そう思った。
だが、皇王の好意を無碍にも出来ず受け取った。
自分の重責を慮ってのことだろうと考えて。

 

 


そ、そういうことで・・・。
ではな、マリコ・・・!

 

 

ダルメラはダッシュして去っていった。

 

 


???

 

 

 

***********

 

 

 

マリコが再び皇王からプレゼントを貰ってきた・・・いや、受け取ってきたことに内心喜ぶシルビ。
断らなかったのだ、良かった、本当に良かった・・・そうシルビは思った。

 

 


せっかくだから、皇王様から頂いた簪と着たららどうだ?

 


・・・。

 


何で黙る・・・。

 


この冠をはずすのは、いや。

 


一度や二度はずしたって、バチはあたらねえよ・・・。

 


いやよ。
これはエルダス国王陛下の賜り物。

 


その簪と着物だって、メイラ皇王陛下からの賜り物だろう・・・。

 


そうだけど。

 


賛成だな・・・シルビにな。

 

 

リスキンはダルメラのやり取りで、すっかりダルメラの信者になった。

 

 


皇王様はそなたを気遣ってくださっておるのだ。
そのご好意を無碍にするのか?

 


とても素敵ですわ、この贈り物。

 


マリコ、皇王様は・・・・・・

 


待った、エルダさん!!
それは言っちゃ駄目だ!

 



何故ですか?
このようにマリコが何も分からずじまいなど・・・。

 


マリコが気がつくことに意味があるんですって、それに皇王様自らの口で言ったほうが、その・・・

 


確かに・・・。
その通りですね。
マリコ、とりあえず、着てみてはどうでしょうか。
冠のこと、エルダス国王も事情を知れば多めに見てくださるでしょう。

 


・・・。

 

 

続く

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