エルフ村編(22)

アルテメシアは倒した、だが、ヴァムも死んだ。

 

マリコは思う。
ヴァムこそが勇者だったのに・・・と。
それなのに、ヴァムは“勇者様”と最後に自分を呼んだ。
愚かにも、最後に気を緩めた自分を。

 

ヴァムに“勇者”と呼ばれた事が、突き刺さった。
誰も彼もが勇者と自分を崇めてきて、呼ばれる事が当然になっていた事もある。
今では勇者などという言葉はどうでもいい事になっていたはずだった。
なのに、強烈に突き刺さった。

 

 


ヴァム・・・。

 

 

ヴァムこそ勇者だったのだ。
なのに、死んでしまった・・・。
どうしたらいいのか、マリコは見出せないでいた。
そんなマリコにガラドゥが言葉をかけた。

 

 


マリコ殿。
勇者であるならば、最後の最後まで・・・魔王を倒すまでは死んではならぬ。

 


・・・ガラドゥ?

 


そなたは勇者だ。
希望を与え、希望を託される存在だ。
なればこそ、早々の死は許されぬ。

 


ガラドゥ、あなたは私は勇者ではないと言っていたわ。
なのに・・・何故そんなことをいうの?

 


それはもう、過去の話だ。
ヴァム殿はマリコ殿に希望を託した。
そなたは、希望なのだ。
希望を与えた、それは勇者の証だ。

 


 

 

“必ずこの世界を魔族から救う事を約束してください”
ヴァムはそう言った。
他の誰でもない、マリコの眼を見つめて・・・。

 

そういうことなのか・・・
自分はヴァムに世界を救うという希望を託された。
他の誰でもない、自分が・・・。

 

シルビはマリコの頭をポンポンっと叩いた。

 

 


・・・。
何よ・・・。

 


観念しろ、マリコ。

 


何がよ。

 


意地はるなって、ことだよってな。
もう、気がついたんだろ?

 


なにそれ・・・。

 


そのまんまの意味。

 

 

にやりとシルビは笑顔を見せた。

 

 


マリコ・・・。
どうか、ヴァムの思いを祈りを、無駄にしないでくださいませ。

 


・・・。
マリコ・・・もう否定する理由はないんじゃないか?

 

 

リスキンは祈った。
この小さな勇者が、己が勇者であると胸を張ってくれることを。

 

 


・・・。
戻りましょう。
そして、皆に報告しましょう、全てを。

 

 

マリコは返事をせず、ただ、顔を上げて、全員に告げた。
その眼には、滲み出る決意と輝きがあった。

 

 

続く

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