エルフ村編(完)

エルフ達が潜んでいた場所に戻り、マリコ達は全てを話した。
ヴァムのことも・・・。

 

 


そうですか、ヴァムが・・・。

 


・・・。

 


ごめんなさい・・・私のせいだわ・・・・・。
私が気を抜いたから・・・。

 


そのようなこと、仰らないでください。

 


でも、ミランヌ・・・。

 


私はマリコが・・・勇者様が無事であるならば、と思いました。
貴女様と一緒に戦えたことは私の誇り。
ヴァムもそうです。

 

 

ミランヌはヴァムの死に悲しみ震えながらも、そうマリコに言った。

 

 


本当は私は悔しかったのです。
治癒以外、何も出来ないことを。
でも、最後にマリコを・・・勇者様を救えた事を誇りに思いました。
その結果、ヴァムを失うことになりましたが、後悔はしてなどしておりません。
そんなことを思ってしまったら、私はヴァムになんと言い訳するつもりでしょうか。
ヴァムだって、きっと同じ事をしていましたでしょうから。

 


ありがとう、ミランヌ・・・。

 

 

マリコはミランヌの言葉に眼を軽く閉じ、眼を開いた。
強く、決意を持った眼を・・・。

 

 


皆、これを見て・・・。

 

 

マリコは百合の花を見せた。
それはアルテメシアが胸に飾っていたものだった。

 

 


お前・・・いつの間に!

 


持ってくわ。
ノーティやヘルガと一緒、他は消えたのにこれだけが残った。
きっと魔王に繋がる。

 


いや、そうかもしれないが・・・。

 


そうだな。
マリコ殿の言う通りだ。

 


おっさんまで!

 


マリコ殿が心配か?

 


!!

 


気持ちは分かるが、今のマリコ殿は今までとは違う。

 


・・・!

 

 

ガラドゥの言葉にシルビは黙った。
マリコは、自分は勇者だといわなかったが、否定もしなかった。
そして、その眼には今までとは違う光も宿していた。

 

そのやり取りを見ながら、エルダは静かに口を開いた。

 

 


私はメイラ皇国、皇王に面識があります・・・。
共に拝謁に参りましょう。
そして、皆に知らせるのです、あなたが勇者であることを。

 


皇王!

 

 

それは、マリコだけでなく、その場全員が驚いた。
エルダはメイラ皇国の皇王に会えと言う。
マリコは光の勇者と崇められたために、自国の王に拝謁したことはあった。
でも、さすがに王にいきなり会えと言われれば驚く。

 

 


マリコ・・・いえ、勇者殿。
どうか、希望を・・・。
そして、皆に魔族たちに立ち向かう勇気を与えてください・・・。
我々に与えて下さったように・・・。

 


私が・・・与えた・・・?

 


そうです。
私も何処かで諦めていたのです。
しかし、最初に貴女を見た時から確信をしました。
そして、その通りに、貴女はアルテメシアを倒して戻ってきた。

 

 

エルダは続ける。

 

 


私は貴女方が帰ってくるまで皆を守らねばと思い戦いました。
きっとアルテメシアは貴女方が倒すのだと・・・希望を持って。
絶望の中、ただ戦うだけに過ぎなかった私が、希望を抱いて戦ったのです。
あなたの言葉に、その眼の輝き、魂の高潔さに震え立ち・・・。
ヴァムも同じ・・・。
あの子は私以上に絶望をしていた。
なのに、勇敢に戦った。
それが出来たのは、貴女に希望を見出したからです。

 

 

ヴァムが絶望していたと聞いてマリコは驚いた。
あれほどまでに勇敢で、まさしく勇者であったはずの彼が。

 

 


ヴァムは、あなたに出会い心を取り戻しました。
希望を、そして戦う心を取り戻したのです。

 


戦う・・・心。

 


そうです。
戦う心を・・・です。
そして、希望を抱いて死んだのです。

 

 

エルダは眼を閉じた。
そして、しばらくしてからリスキンに声をかけた。

 

 


リスキン殿。

 

 

唐突に自分の名を呼ばれて驚くリスキン。

 

 


俺が、何か・・・?

 


貴方も希望を見出したのではないのですか?
そして、貴方自身の未来も・・・。

 

 

リスキンは思い出した、戦いに行く前のエルダの言葉を。
未来は自分にも降っているのだと。

 

 


・・・でも・・・俺・・・は・・・・・・。

 


なんていっても、俺はお前に命助けられたからなー
あ、俺だけじゃねーか、あれは。

 
シルビは自分がカトゥーナに喰われそうになったときのリスキンの行動を思い出していた。
それを思い出しながら、リスキンの肩を抱いて頭をぐりぐりした。
シルビに、もう、リスキンに対する嫌悪はない。

 

 


あれ・・・は・・・・・・俺の中の魔族の血・・・闇の力だ・・・・・・

 

 

一瞬皆驚いたが、それだけだった。

 

 


かんけいねーよ。
邪険にして悪かったな。

 

 

そう言って、にやりと笑った。
心地の良い笑顔だった。
いや、シルビの笑顔はいつだって心地の良いものだった。
たとえ、自分に向けられたものでなくとも。
その笑顔が、今は自分に向けられている。

 

 


お前、かっこよかったぜー

 


うむ。

 


うん!

 


ありがとうございます、リスキン。

 


・・・。

 

 

自分の罪は消えない。
永遠に。
でも、生きていく理由はある。
償う道はある。
リスキンはそう思った。

 

マリコは思った。
魔族たちを撃退していたときに言ったヴァムの言葉を。
勇者、その言葉には意味がある、と。
自分はそれをかみ締めなければならない。

 

 

続く

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