エルフ村編(9)

マリコは思う。
自分の発した言葉を。

 

”私は勇者として戦っているんじゃない。
私が成さねばならない事と思ったからこそ、私はここに立っている。”

 

とっさに出た言葉。
それは地下都市にいた老人がマリコに問うた”勇者だから救おうと思っていたのか”その答え。
自分は勇者だからではなく、自分自身が救いたいと思ったから救い戦い、そう願い・・・。
勇者である誇りは後付だったのだ。

 

崇められた末、歪んだ誇りを抱いていてしまっていた。

 

自分は勇者などではなかった。
それは、現実。
それでも、志は捨てない。
仲間を見捨てたりはしない。
救おうという祈りをねじ巻けることはしない。

 

 


マリコ?

 

 

ぼうっと考えていたマリコにシルビが声をかけた。

 

 


ごめんなさい、ちょっと考え事してたわ。

 


だろうな。
難しいこと考えてたんだろう、どうせ。
脳みそ筋肉だけど、ちったー考えるようになったじゃねーか。
まあ、考え過ぎは感心しねえけどな。

 

 

シルビは知っていた。
マリコは勇者と呼ばれているから戦ってきたわけではなく、自分の意思で戦ってきたことを。
絶対の意思で戦い抜き、救いたいと願い続けたからこそ、勝ち続けた。
その結果、光の勇者とまでいわれ、崇められることになった。
マリコは単純に光属性のみであそこまで崇められたのではないのだ。
ところが、崇められた結果、勇者と呼ばれることに対するその誇りは異常なまでに発達してしまった。
そのことにシルビは頭を痛めていた。

 

ところが、今は逆転してしまっている。
異常なまでに・・・。

 

 

シルビはマリコの頭をポンポンッとたたいた。

 

 


なによ・・・。

 


・・・。

 

 

リスキンは思う。
マリコは、真実、勇者なのだと。
なのに、それを頑なに否定するマリコ。
そうしたのはヘルガと己であった。
マリコが自分が勇者で無いと言い張るたびに罪悪感はどんどん増していく一方だった。

 

 


この森を奥へ奥へと一日半以上行きますと、僕らの村になります。

 


案外遠いんだな。

 


それだけ、逃げ惑っていたのです・・・。

 


そうだったな・・・。
すまねえ。

 


とんでもありません、シルビ様。
気を使わせて申し訳ありません。

 


シルビ、でいい。
マリコはマリコって呼んでいるのに、それじゃあ変だろう。
ヴァム、お前もだ。

 


我のことも呼び捨てでかまわぬ。

 


俺もだ・・・。

 

 

ヴァムもミランヌも、何処か硬かった表情が柔らかくなった。

 

 


では、そのように致します。

 


ありがとうございます。

 

 

続く

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