地下都市編(35)

ヘルガは倒した。
ようやく地下都市は開放される、そう思ったその時・・・

 

 


うう・・・あああ・・・・・・・
おれ・・・は・・・・・・・おれは・・・・・・・・・・

 

 

スニークが起き上がろうとしていた。

 

 


やろう、まだ生きてやがったのか!

 


まって!
何か、様子がおかしいわ!

 


当たり前だ。
ガラドゥのおっさんに壁に叩きつけられたんだ!

 


確かに・・・。
何か、おかしい。

 

 

スニークの様子は、明らかにおかしかった。
痛みでもだえているのではなく、何か別の何かに苦しんでしんでいるような・・・

 

 


うわあああああああああああああああ!!!!!!!

 

 

そのままスニークは気絶してしまった。

 

 


・・・。
この者、どうする?

 


まあ、生きてて幸いだったかな。
してもらわなきゃならねえことあるし。

 


してもらうこと?

 


出入り口のことだ。
入り口から出口に着くまで、大変過ぎる。
ここを開放するってていっても、出るまでにさまよっちまう奴も出てくる。
入り口を開く呪文を、こいつは唱えていた。
それに、いくらなんでもここを作ったメイラの連中だって、入り口から完全に出入りできないのは不便だったはずだ。
何か、仕掛けがあるにきまっている。
それを、こいつに吐いてもらう。

 


なるほど。

 

 

 

*******************

 

 

 

しばらくして、スニークは眼を覚ました。
怪我を負った部分には応急処置が施されていた。
シルビが銃口をスニークに向けた。

 

 


おまえには吐いてもらいたい事が山ほどあるんだ。

 

 

それを、マリコが間に入って制した。

 

 


まって、シルビ!
この人・・・目がぜんぜん違う・・・
雰囲気も・・・

 


・・・。

 


なるほど。
確かに全然違うな。
・・・では、そなたのこと、話してもらう。
どうするかは、その後にしよう。
シルビ殿、銃を下げられよ。

 


・・・まあ、言われて見れば。

 

 

シルビは銃を下げた。
だが、何があってもいいように緊張だけは解かなかった。

 

 


さあ、話して・・・。

 

 

しばらく黙っていたスニークだが、やがて重い口をあけた。

 

 


・・・。
俺の父親は魔族だ。

 


!!!

 


母は魔族に略奪された花嫁だった・・・。
俺は魔族と人間の混血児。
当然のように周囲は俺を蔑視した。
母も、父親似の俺を疎んじた。
そして・・・俺は噂で聞いた地下都市へ逃げ込んだ。
13の頃だった。
だが、そこにあるのは噂とは程遠い・・・地獄だった。

 

 

スニークは話を続けた。

 

 


魔王の出現で、メイラ皇国は混乱し、地下都市は機能してなくなるはずだった。
だが、魔王はヘルガを使ってこの地下都市を利用した。
陰湿なまでの人類の化学の結晶がここにはあったからな。

 

 

嘲笑するように、スニークは言う。

 

 


ここへきてから何年間も、ひそかに腕を磨き続けた。
メイラを憎み、開放されるはずだった地下都市を再び元に戻した魔王を憎み。
そして、俺はヘルガと戦った・・・。
だが、あっさりと返り討ちにあったよ・・・。
そして、そのまま俺は・・・記憶を消され善悪の心を壊されヘルガの駒になった・・・。

 


まあ、アレだけ強けりゃ、ヘルガも側に起きたいだろうからな。
殺すのは勿体無いと思ったわけか。

 


・・・。
俺はヘルガの、いや、魔王の呪いによって体の時間を止められた。

 


そういえばあのおじいさんが言ってたわ。
おじいさんが若かった頃、あなたも若かったって。

 


700年前、魔王は封印された。
地下都市はついに開放されるはずだった・・・。
だが、この地下都市にヘルガは居座り続けた。
いつか蘇るであろう魔王を迎え入れるために。

 

 

スニークは一つ息を吐いた。

 

 


話はここまでだ。
用件はなんだ?
用が済んだら俺を殺せばいい。
かまわない、俺は、それだけのことをしてきた。

 


あなたは操られてきた、被害者よ。

 


俺がしたこと、目の前で見たお前がそれを言うか?

 


私が許せないのは当時のメイラとヘルガよ。
あなたではない。
全ては太古メイラ皇国とヘルガ・・・魔王が仕組んだこと。
あなたはその被害者。

 


加害者だ。
理由なんて、関係ない。

 


・・・マリコ殿、この者を許そうと?

 


・・・。

 

 

シルビもガラドゥも困惑した。
スニークの話に嘘は見あたらない。
今のスニークの眼を見れば一目瞭然だった。
それに、特にガラドゥは嘘をつける相手ではない。

 

 


許してどうなる?
許しを請うことさえ許されない、この罪を・・・。

 


じゃあ、私達と来なさい。

 


なに?

 


戦いなさい。
罪があると思うのなら、それを清算する努力をしなさい。

 


俺に戦え・・・と。

 


そうよ。
あなたには戦う力がある。
それをヘルガは利用した。
なら、戦いなさい。
戦って全てを終わらせる!

 


・・・。

 


スニーク、答えは!?

 


・・・。
罪を購う努力、か。
俺には・・・死んでも購えぬ罪を負っている。
だが、戦う力はある。
だったら、それしか道はなさそうだな・・・。

 


決まりね!
よろしく、スニーク。

 

 

スニークに手を出すマリコ。
スニークは黙ってマリコと握手した。

 

 


1つだけ願いがある。
俺の名はリスキンだ。スニークと言うのはヘルガが付けた名だ。
・・・だからもうスニークと言う名では呼ばないでくれ。

 

 

シルビとガラドゥは黙ってその光景を眺めていた。
今までのマリコとはどこか違う姿を・・・。

 

 

続く

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