地下都市編(32)

カイは何事もなかったかのように、いつもと同じ様子で立っていた。

 

 


あらあら、まだいたのねー
ぼうや、怖くて足が動かなかったのかしら♪

 


アホくさくて動くの面倒だっただけだよ。

 


まあ、なんて素直な子かしら♪
自分の立場をきちんと分かってるなんて☆

 


立場あ~?
どうでもいいよ、俺にとっては。
そてにしたって、あんたがヘルガなんだ?
こんなアホ丸出しな奴だったんだな。

 

 

カイは軽蔑の眼差しをヘルガに向けた。

 

 


まあ、口が過ぎると実験体になっちゃうわよ♪

 


で?
そんなことして、何したいの?

 


すべては魔王様のため☆
素晴らしい地下都市へご招待するためなの。

 


じゃあ、魔王様って奴もアホなんだ。

 

 

その言葉に、ヘルガはわなわなと怒りをあらわにした。

 

 


・・・。
魔王様を侮辱することは許さない・・・!!
おゆきなさい、ヘルダスト!

 

 

ヘルダストがカイに襲い掛かる。
その時。

 

 


危ない!!!

 

 

マリコがカイを襲おうとしたヘルダストたちを一掃した。

 

 


あら、まだまだ元気じゃない、おちびちゃん♪

 


・・・。
大丈夫、カイ?

 


おかげさまで。

 

 

肩をすくめて言うカイ。
殺されかけたというのに、その態度はまったく変わらなかった。

 

 


巻き込んじゃったわね・・・。

 


アホくさっ。
巻き込まれたつもりなんかねーよ。

 


・・・相変わらずね、あんた。

 

 

マリコはあきれ返った。
カイは、こんな状況でも、カイのままだった。

 

 


ところで、アレがあんたが倒したがってたヘルガでいいんだよな?

 


そうよ。
そして、倒す。

 


そりゃ、ご苦労さん。
あんなアホだと相手にするの疲れるだろうにさ。

 


そうね、アホを相手にすると疲れるわ。

 


まあ、そんなアホを相手にしているあんたも十分アホだけど。

 


アホで悪かったわね。

 

 

そう言いながらマリコは微笑んだ。
こんな状況下でもカイはまったく変わらない、それが嬉しくてしょうがなかった。

 

 



なんか気色悪いんだけど。

 

 

そんなやり取りをヘルガはじっと眺め、そして口を開いた。

 

 


・・・。
ぼうや・・・許さないわよ。
私どころか・・・魔王様を侮辱した罪・・・
償ってもらうわ!!!

 

 

カイを殺そうとヘルダストたちに襲わせるヘルガ。
それをことごとく、マリコ・・・いやマリコ達に消されていった。

 

 


あんた、散々魔王様魔王様言ってたけど・・・。
ホント、魔王様命なんだな。
感心するぜ。

 


まったくだ・・・。
そこまで取り乱すとはな。

 


ヘルガがアホなんだから魔王様は相当なアホって・・・。
カイ、うまいこと言うじゃない。

 

 

ヘルガはさらにわなわなと震えた。

 

 


許さない、許さないわーーーーーー!!!

 

 

ヘルガは激高して、強力な闇魔法を放った。

 

 


!!!!

 

 

マリコ達全員が横っ飛びになって、ヘルガの魔法攻撃を避けた。
カイはガラドゥが担いでいる。
今のヘルガは怒りで我を忘れているので詠唱に無駄ができていた。
それに、全員ある程度ヘルガから距離が離れていたので避ける事が出来た。

 

 


へえ~、あれが魔法ってやつなんだ。

 

 

カイはガラドゥに担がれたまま、まったく動じずそんなことを言った。

 

 


・・・たいしたガキだぜ。

 


・・・。

 


どーも。

 

 

そんなカイを見て、シルビはあることを思いついた。

 

 


ヘルガの今の狙いはそのガキだ。
ガラドゥ、そのガキかついでヘルガの攻撃を逃げ回ってほしい。

 


それはもちろんだが・・・?

 

 

ガラドゥはそもそもカイを放っておくつもりはない。
シルビならそれは分かるはず。

 

 


見ろよ、ヘルガは魔王様の愛で我を忘れてあんなに震えている。
バリアも張っていない。
ヘルガの目的は、魔王をアホって言ったカイだ。
・・・おいガキ、お前には悪いが囮になってもらう。
お前の身の保障はガラドゥのおっさんがしてくれる。

 


・・・?
どういうこと。

 


今がチャンスだ・・・
この意味、分かるな?

 


!!

 


 


悪いな。
地下都市の人間である以上、ヘルガの事は、お前も無関係じゃない。
しっかり働いてもらう。

 


ちょ、ちょっと、カイをおとりなんて!

 

 

その言葉をシルビは眼で制した。

 

 


静かにしろ、マリコ。
お前は黙って準備してるんだ。
・・・ガラドゥ。

 


わかった。
マリコ殿、我を信用しろ。

 

 

マリコは黙ってうなずいた。
それをを皮切りにガラドゥはカイを担いで離れていった。
カイがヘルガの眼に留まるように、そしてある程度はなれた場所に。
マリコはなにやら集中しだした。
・・・そしてシルビは、ウエスタから託された弾を銃に込めた。

 

 


逃がさないわよ!!

 

 

ヘルガはガラドゥ・・・カイに向かって魔法を無駄に連発し始めた。
ガラドゥはカイを担いでいるとはいえ、さっきの奴隷達との戦いで武器を全部はずしたままで身軽だ。
我を忘れたヘルガの攻撃を悉くガラドゥはかわした
それに苛立ちを覚えてさらに広範囲な魔法を浴びせようとヘルガは大きく魔力を体に溜めこもようとした。
そのときだった・・・

 

ヘルガに銃弾が飛んできた。

 

 

続く

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