地下都市編(29)

ガラドゥはそのままスニークを壁に叩きつけた。
スニークは獣人のパワーで壁に叩きつけられて、血まみれになってピクリとも動かなくなった。

 

シルビはスニークの焦りを利用した。
どちらかに止めをさすチャンスが少しでも見つければ、必ず仕掛けてくる。
しかし、それは逆を返すともう一方の相手に隙を作ることになる。
スニークの速さは尋常じゃない。
もし、ガラドゥがもう一瞬でも遅い反応であったらシルビの命はなかっただろう。

 

 


あらあら、スニークったら♪
お相手が強いと役に立たないわね~。
素敵☆

 


・・・次はお前の番だ。

 

 

シルビは言い放ち銃を構え、ガラドゥもすぐに臨戦態勢をとった。
だが、スニークとの戦闘でのダメージを隠しきれない。
そして、マリコはヘルガに追い詰められていた。
ヘルガは、最初こそ驚きで後手に回ったが、マリコの今までと違う戦方法にもすぐに慣れてしまった。
マリコはへルガのバリアを張るタイミングこそ掴んだものの実力差は歴然だった。
光の勇者とまで言われ、圧倒的な戦闘力でどんなに強い魔物たちも一瞬で一掃してしまうマリコは、今や鮮血で体が覆われ鉄壁の精神力で立っているに過ぎなかった。
ヘルガは強すぎる、圧倒的に。

 

 


なんて可愛い子達・・・素敵・・・♪

 

 

ヘルガは心底愛おしそうにマリコ達を見つめる。

 

 


あなた達は魔王様への献上品。
こんなに上等品が揃って・・・魔王様はお喜びになるわ♪
おちびちゃんは魔王様の前で壊すとして・・・お兄さんとワンちゃんは・・・素敵な実験材料になるわねー
上等品をもって、最上等品を壊すの☆
それこそが、魔王様への最高のプレゼント♪
光の勇者を魔王様の御前で壊すとか、素晴らしいわ~

 


ヘルガ!!
あなたが何を企んでいるかは知らないし、知りたくもない!!
でも、あなたをここで倒す!

 


この状況で、どうやって私を倒すのかしら♪
可愛いおちびちゃん☆
それに、安心して。
さっきも言ったでしょう?
あなた達は大事な大事な魔王様への献上品。
命まではとらないわ~
まあ、今はだけど♪

 


ベルデア達にしたことを我達にもしようというわけか・・・。

 


うーん、それは迷い中。
あなた達はあの女の子やBNK3Rとは違うもの。
ああいう単純な壊し方は難しいわよね☆
何よりも魔王様が満足しないわ♪

 


お前が何したいんだか、さっぱりだよ。
でもな、人間をなめすぎてるぜ。

 

 

シルビはウエスタのことを想う。
自分はウエスタがたどってきた人生を何も知らない。
知っているのは濃い影を持って生きてきたことだけだった。
ウエスタの最後はどうだったんだろうか。
あいつは、どんな思いでここにいたのだろう。
ただ、ウエスタは・・・どんな境遇でも最後の最後まで壊れなかった。
ヘルガはその意味を、理解していない。

 

 


面白いことを言うのね、お兄さん♪
でも、仕方がないでしょう?
魔族より下の存在なんだもの、人間は☆

 


それがなめてるって言うんだよ・・・。
俺たちは・・・人間は・・・お前たちが思っているほど単純じゃねえ。

 


そうかしら?
私、ここで何百年も人間を見続けてきたのよ☆
分かるわ~。
人間は単純な生き物、品性も誇りもない。
醜く愛おしい、可愛い存在♪

 


・・・勘違いも甚だしい。
ベルデアもランヴィも・・・品性も誇りもあった。

 


何故?
あの子達のどこにそれを見出したのかしら♪

 


分からぬなら、分からぬでよい。
そのようなこと、きさまに期待してはおらん。

 

 

ヘルガは、そんなシルビとガラドゥの言葉を心底面白そうに嘲笑った。
そんなヘルガにマリコは仁王立ちし、剣をヘルガに向けた。

 

 


・・・ヘルガ。
私達人間の力、見せてあげるわ。
あなたが否定した、人の心の強さを知らしめてあげる!!

 


さすがおちびちゃん♪
特別製は言うこと違うわ~

 


私は特別なんかじゃない。
ただの人間どころか、それ以下の弱い存在・・・。
でも、それでも、譲れないものがある!

 


弱い、あなたが?
心も戦闘力も一級品よ。
無自覚って怖いわね♪
さすが光の勇者様、謙虚で素敵☆

 


人間をなめるなって、言ったはずよ。
私は私だけの力で立ち上がったんじゃない!
私には私の祈りを思い出させてくれた人達がいた!!

 

 

老人の問いかけは、マリコに考える力を与えた。
カイの言葉は痛烈なまでにマリコに己が生きなければならない意味を思い出させた。
彼らは勇者としてではなく、人間としてのあり方をマリコに突きつけた。

 

 


ヘルガ。
あなたはここで倒れるの。
人間は・・・あなたのおもちゃじゃない。
あなたを許すわけにはいかない!!!

 

 

その言葉には絶対的な決意があった。
その目には強い光を宿していた。
どんなに追い詰められていても、マリコは、ヘルガを倒すことだけを考えている。

 

 


マリコ!

 


マリコ殿!!

 

 

マリコの言葉に、シルビとガラドゥは奮起した。
心のどこかで、ヘルガには敵わないと思っていた。
ヘルガは自分達に何をしようというのか、そればかりを想像していた。
しかしマリコの言葉は、ヘルガを絶対に倒す、その心を二人に強く思い起こさせた。

 

 

続く

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