地下都市編(23)

”志も仲間も、ポイってか。”
カイの言葉は痛烈にマリコの心をえぐった。
仲間・・・。
シルビ、ガラドゥ・・・。
二人はマリコを助け続けてくれた。
直線的に攻撃するしか脳のなかったマリコをフォローし続けてくれていた。
それを忘れ、自分は一人だけでもどうにかなると慢心してしまった。

 

 


シルビ、ガラドゥ・・・私やっぱり、あなた達を放ってなんか出来ない。

 

 

仲間、大切な人たち・・・。
それを見捨てるなど、出来ない。

 

”おまえさんは勇者と呼ばれてたから救おうとでも思ってたのか?”
それは、考えても考えても分からない。
でも、シルビとガラドゥを助ける、絶対に・・・。
ヘルガも倒す、何が何でも。
これだけは自分自身の想いだ。
それに、ここで自分が全てを捨ててしまったら、凄惨な末路をたどった者達に何と言い訳するつもりだ。

 

自分は勇者などではなかった。
それでも・・・。

 

 


あいつ、なんか表情変わった・・・。
おい、じいさん。
あいつまた何かしでかすつもりだぜ。
何なんだ???

 


時は満ちたか・・・。

 


???

 


あの子は希望をもたらす子なんじゃよ。

 


希望?
あんな奴がかあ~。
また煽るつもりかなあ?
無駄なのに?

 


煽るなど、せんよ。

 


じゃあ何だよ。

 

 

カイには老人が何を言いたいのかさっぱりだった。

 

 


悲劇を背負った子だ。
それを背負い続けた子だった。
だが、潰れなかった子じゃ。
壊れなかった子じゃ。
勇者と崇められた末に傲慢な行動を起こしたが、それでも・・・。

 


へ?

 


まとってる光が、じゃない。
眼の光が、違う・・・。
先ほどどころか、来たすぐの頃よりも・・・。

 


まあ、様子は変わったけど・・・それが何なんだ???

 


絶対の覚悟を持った眼じゃ。
大規模な謀反を起こして悲惨な末路をたどった者達の誰もが、手を差し伸べた人間がいても、結局は壊れてしまった。
それをわしは何度も見てきた・・・。
自分のしでかしたことの大きさに耐えられなかった者達しかいなかった。
ここは諦めるだけの人々しかいない場所じゃ。
だが、あの子は違う。
眼に強い光を灯しておる。

 


だとしても、何が出来るんだよ。

 


何も出来ぬかもしれん。
でも・・・わしは初めて・・・希望を見た・・・・・・!

 

 

老人の表情は、カイが初めて見るものだった。
カイには理解できない、あふれ出す何かに満ちあふれてていた。

 

 


希望ねぇ・・・。

 

 

カイは他人事のように言う。
ここで育ったカイにとってはどうでもいいことだったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


私、行くわ・・・シルビ、ガラドゥ。
ここのこと何も分からなくても、自分自身の意思で行動を起こすことは出来る。
この先、何が待ち受けていようとも・・・。

 

 

続く

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