地下都市編(13)

シルビの部屋に、水菓子を土産にウエスタが尋ねてきた。

 

 


何の用だよ、ウエスタ。

 


・・・。
シルビ、俺はさ、一緒に捕まった仲間っていっても、あいつらのことを心配したことなんてなかった。
どうでもよかった。
あいつらもそうだろ、俺のことなんざ心配なんてしてなかっただろうさ。
いや、あいつらだけじゃ、ねえか。
だから、少しお前が羨ましかった。
心配する相手がいる、それが。

 


・・・?

 


それだけ。
悪かったな、と思ってさ。
こんなところに捕またっていうのにそんなこと考えちまって。

 


お前・・・。

 


最初の日から何も食ってないんだろ、どうせ。
目に隈ができてるから、ずっと眠れてなかったのも気がついてた。
無茶言うけどさ・・・水菓子持ってきたけど、食えるか?

 


・・・ウエスタ・・・お前、ここに来て何年だ?

 


ん?
うーん、4,5年かな。

 


よくあっちの世界に行かなかったな。

 

 

いつも見張られ、研究だけをひたすら続ける日々。
寝食している時ですら、見張られて続けている。
奴隷として。
心なんて休まらない、一瞬として。
どんなに厚遇されていたとしても、壊れないほうがおかしい。
いや・・・下手に厚遇されてるからこそ壊れるのどろう。

 

 


言っただろ。
俺には俺を心配する奴も心配する相手もいない。
だからだよ。

 


・・・。

 

 

ウエスタには何らかの暗い影があったのだ。
シルビは気がつかなかった。
あんまりものほほんとしていたから。
ウエスタはヘルダストと仲がいいと楽しげに言っていた。
そういうことなのか。
ウエスタにとって、見張り役でもヘルダストは気が置ける相手だった。
それはウエスタにとってある意味救いだったのだ。

 

 

 

*************************

 

 

 

ウエスタは結局シルビが食べなかった土産の水菓子をヘルダストにあげた。
ヘルダストは嬉しそうににピョンピョンといつも以上に喜んでいた。
シルビへの土産は、最上級のものだった。
水菓子は、どうしても最上級なのが欲しいと言ってヘルガの直属の奴隷にお願いして譲ってもらったものだった。
ヘルガ直属の奴隷は傲慢だが、ウエスタには心を許している部分がある。
ウエスタに対しては同等に接していた。

 

 


なあ、ヘルダスト。
あいつもあっちの世界に行っちゃうのかな。
あんなにいい奴なのに。

 


・・・、・・・、・・・・・・。

 


そうだよな、当たり前だよな・・・。

 

 

ウエスタは、はぼ確実にヘルダストと会話できる。
ヘルダストたちが何か会話する為の信号があるのを知って、色々と調べてみた。
その結果である。
それをヘルガが黙認したのはウエスタの目的を知っていたからだ。
ウエスタは自分と共にいるヘルダストと会話がしたかった、それをヘルガは知っていた。

 

 


そういえば、あいつ他にも仲間がいるって言ってたっけなあ・・・。
心配してたし・・・。
俺、羨ましいと思ったけど、そっちのほうが辛いよな。

 


・・・。

 


それ、美味しいか?

 


・・・、・・・・・・・!!

 


せっかくの上等な水菓子なのに、暗い話をしてごめんな。

 


・・・!

 


そうか、ありがとう。
気を使わせちゃったな。

 


・・・、・・・、・・・・・・。

 


そんなことないってか。

 

 

すこし笑顔になるウエスタ。

 

 


俺、ある意味ラッキーだよな。
お前みたいないいヘルダストが側付きなんだから。
他のヘルダスト・・・ほとんど機械仕掛けみたいなもんだ・・・。
無機質ってやつ?

 


・・・、・・・・・・。

 

 

ウエスタの側にいるヘルダストはウエスタの事が好きで、知能が低いとはいえウエスタと一緒にいることで心が休まるようだ。
お互いがお互いの救い手となっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あいつ、これからどうなっちゃうんだろうなあ・・・。

 

 

続く

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