地下都市編(8)

一晩たって、マリコはここが薬の選別所だと聞いた。
そしてここが一番人が多いということも。
本当は人体実験の被験者が一番多いのだがそれは数に入れて無いようでマリコは聞かされなかった。

 

 


・・・薬なんて。
とんでもないわ、何に使うか分かったもんじゃない。

 


あれ、この光は・・・?

 


なにかしら。

 

 

たまたまマリコの真横を通り過ぎた奴隷の男がマリコを見て驚愕した目をした。

 

 


あああああ!
少しでも”視える”奴なら分かるだろ!!!
きちんと視ろ、おまえ達!
光だ!
光をまとってる!!!
あんた、光属性なのか!?

 


そうよ。
故郷では”光の勇者”と呼ばれていたわ。

 

 

どよめきが走った。
たいていの人間は見かけだけでは属性の種類は分からないが、マリコは突出した光属性。
ほんの少しでも潜在的に”視える”力があれば分かる。
大半の人間が、マリコが光属性だと分かり驚きを隠せなかった。

 

 


光の勇者だって・・・!

 


知ってるのか?

 


俺も新参だから最近の外の事情は知っている・・・。
噂で聞いた。
隣の大陸に光属性で、しかも突出して強い女の勇者がいるって。

 


何が光の勇者だ。

 


お前はあの輝きがわずかでも見えないのか!?
俺みたいなのでも視えるぐらいなら、相当強い属性効果を持っているんだ。
しかも、光の属性・・・すげえ・・・。

 


あいにく、俺にそんな力はねーな。

 


勿体無い・・・。
光属性は、特別な存在なんだぞ。

 


くだらねー。

 


光属性は崇められる運命をたどるんじゃよ。

 

 

老人は静かにカイに説明をした。

 

 


光属性は、特殊な能力を生まれ持っているものが多い。
あの子は凡人にさえ”視える”光をまとっておる。
相当崇められてきたんじゃろうな。
それに、光の勇者などと呼ばれるぐらいだから相当強いのだろう。
スニークじゃなくてヘルガ自らが戦ったぐらいだからな。

 


だからどうしたっていうんだよ。

 

 

吐き捨てるように言うカイ。
視えない、というのは実は嘘だった。
だが、カイはそもそもマリコを一般人以下だと思っている。
光属性が素晴らしいなんか聞かされても、どうでもよかった。

 

 


まあ、哀れな属性なんじゃよ、光属性ってもんは。
言っただろう、崇められる運命にある、と。
それは、あまりにも悲劇なことなのだ。

 

 

そんな老人とカイを横目に、マリコは大きな声で言い放った。

 

 


私がいるからには、もう大丈夫よ、あなた達!
私がヘルガを倒すわ!!

 

 

おおお!!!、と喜びを隠せない奴隷達。
マリコは、そうなればシルビもガラドゥも助けられると思った。
それを、闇の底から遠めに見ているヘルダストが一匹・・・。

 

 


・・・。
マリコ・・・。
おまえさん、ヘルガをどうにかできると思っているのか?

 


当然よ!

 


はぁ・・・。
その自信はどこから来るやら・・・。
あんた、アホじゃね?

 


私はここへ来る前、友と共にヘルガと同じ魔王直々の眷族を倒したのよ。

 

 

さらに歓声は広がった。

 

 


それなら、きっと何とかなる!!

 


眷族倒したって言ったって、仲間と一緒に、だろ?

 


・・・そうじゃよ。
気持ちは分かる、だが、己一人でどうにかしようなどと・・・傲慢じゃよ・・・。

 


一人じゃないわ!
ここにはこんなにもたくさんの人がいる!

 


・・・おまえさんの友とは違うじゃろうて・・ここの者達は。

 


同感。
えらそうなわけだよなー。
眷族を倒したって?
でも、どうせ、その友とやらが強かっただけじゃねえの?

 


何を言うんだ、カイ!
ここにいるのは、光の勇者様だぞ!

 

 

そうだそうだと沸きあがる歓声。

 

 


・・・。

 


くだらねえなあ・・・。

 

 

続く

ブログランキング・にほんブログ村へ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。