地下都市編(10)

マリコが目覚めた場所は、小奇麗な白い部屋だった。
そして、すぐ横には医師らしき人物が立っていた。

 

 


ここ・・・は。

 


病室だよ。
ここは普段はヘルガ直属の上位女奴隷が使う場所だけど、あんたは特別だからだって、ヘルガの命令。
しかも、治癒魔法を使える者を連れてきて治癒してもらった。
すぐに動けるようになる。
普通ありえないよ、逃亡しようとした奴隷をここに連れて来るなんてさ。
しかも、治癒魔法付き。
ホント、あんた特別扱いだね。
さすが光の勇者様。

 

 

医師は皮肉をこめて言った。

 

 


他の人たちは!!

 


生き残りは通常の医務室で手当て中。
そんなに酷いこになってないから大丈夫だってさ。

 


そう、よかった・・・。

 


何が良かった、だ。
忘れたか、どれだけの人間が無惨な姿で殺されたのか。

 


!!!!!!!

 


これはあんたのしでかしたことだ。
ま、光の勇者様に煽られたら、ついていきたくもなるだろうけど。

 


私は・・・私は・・・・・・

 

 

マリコの様子に医師はため息を吐いた。

 

 


まあ、しばらく横になってるんだね。
それにしたって、こんな大規模な逃亡劇は久しぶりだ。
皆大忙し。

 

 

そういって、医師は出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”これはあんたのしでかしたことだ。”

 

 

大勢の人々が無惨な最期を迎えた。
苦しめられた。
マリコの言葉を信じついて来た人々が・・・。

 

 

ただ、ひたすら助け出したいと思った、この奈落から。
奴隷などにされ、苦しみを味わい続けている人々を。
そして、自分なら救えると思った。

 

 

負けたことなどなかった。
自分は光の勇者。
敗北は許されない。
自分が敗北するということは人々が苦しむということだから。
現実、マリコが負けたことで多くの人々がが苦しみ悲惨な末路を迎え、奴隷にされている人たちの絶望はいかほどか・・・。

 

 

マリコはふと思い出した。
そういえばデルタ村の女医は言っていなかったか、助けたいという想いそれだけではいずれ大きな災厄を招くと。
ガラドゥは言っていた、マリコが勇者なのは戦においてだけだと。

 

 

”俺にはあんたが勇者とやらには思えねえな。”

 

 

マリコは思う。
自分は勇者であると。
実際、人々は口をそろえて自分を光の勇者と崇めた、そしてマリコはそれに応え、多くの命を救ってきた。
それは自らの誇りであり絶対。
だが、今回は違う。
誰も救えなかった。
救うどころか破滅に追いやった。
マリコは自分の中の何かが壊れていく音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


シルビ・・・私・・・・・・。

 

 

続く

ブログランキング・にほんブログ村へ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。