岩山編(15)

途中にちらほら出てくる魔物を蹴散らせながら岩山を下るシルビとサリム。

 

 

ガラドゥの側近
それにしても、魔物の数が随分と減ったものですね。
力も完全に弱まっている。
雑魚だらけですな!
これもそれも、マリコ殿とシルビ殿のおかげ!
これ、感謝極まりない!!

 

シルビ
そりゃ、どーも。

 

ガラドゥの側近
しかし、マリコ殿は気の毒です。
あのような怪我を負って、しかも、村人のどうでもいい約束まで守るとは・・・。
我が集落へ足を運ぶ約束などどうでも良いのではないのですか、あの怪我なのですから。

 

シルビ
そう言って貰えて嬉しいよ。
獣人族は話が分かるから助かる。
マリコの怪我を考えて行動してくれているしな。

 

ガラドゥの側近
それもこれも族長のおかげ!!!
族長の一声で、みなはマリコ殿を思うことが出来たのです!!!

 

シルビ
確かに、ガラドゥは凄いな。
一声で全員黙らせられるし。
・・・でも、それだけじゃないだろ、あんた達は。

 

ガラドゥの側近
何がですか?

 

シルビ
マリコを必要以上に特別視していない。
確かに特別な存在だとは思っているようだけど、なんだかんだできちんとマリコを血を流し苦しむ人間としてみている。

 

ガラドゥの側近
???
光属性の娘御とはいえ、人間。
何を当たり前なことを言っているのですか、シルビ殿は。

 

シルビ
・・・其の当たり前が通じない人間ばかりなんだよ、あっちもこっちも。
光の勇者だかんなんだか知らないが、マリコは戦えば傷つく単なる人間だ。

 

ガラドゥの側近
頭が悪いとはいえあなた方が戦った眷属という奴は相当強かったと聞きますぞ?
魔法も使えたとの事。
前衛であるマリコ殿が無傷という事はありますまい。
さっきから何を言っておるんですか、シルビ殿は。

 

シルビ
ホント、話が分かるな。
頭が下がるぜ。
マリコは無駄に強いから怪我を負う事は少ないし、怪我を負っても其の痛みを表に出すこともない。
だから、周りはマリコが怪我を負ってもあまり気にしない・・・。

 

ガラドゥの側近
そういえば・・・医師の言葉に反してマリコ殿はずいぶんと暴れましたな。
痛みを表に出さない、なるほど。
凄い怪我しているはずなのに、よくあんなにも暴れる力があるものだと感心してしまいました。
無理していたのですな、酷いことを私は考えてしまったようです。
申し訳ない。
(深々と頭を下げるサリム)

 

シルビ
・・・。
そう思うのも無理はない。
あそこまで暴れれば元気だと思っちまうさ。
馬鹿だよ、マリコは。

 

ガラドゥの側近
はあ・・・馬鹿、ですか。
まあ、ある意味あの怪我で馬鹿な行動をしたと言われればそうですな。

 

シルビ
そういうことだ。

 

ガラドゥの側近
あ、そうそう!
わたくしめの強弓と狙撃銃は非常に似てますな!!
扱い方といい、戦い方も!
シルビ殿の腕前を拝見できて嬉しいです!
すばらしい腕前・・・。
正確無比に魔物たちを撃ち抜く・・・。
しかし、この程度の魔物たちでは完全な腕前は見れませぬな。

 

シルビ
そこまで似てるか?

 

ガラドゥの側近
似てますとも!

 

シルビ
・・・。
強弓は完全な後衛。
俺は中衛だ。
少し違う。
まあ、使う奴にもよるかがな。

 

ガラドゥの側近
そんなことはありませぬ!

 

シルビ
・・・そういうことにしておくよ。

 

 

*********************

 

 

村にたどり着くシルビとサムリ
村人達と警備隊員たちがいっせいに押しかける。

 

 

村長
おお!
これはこれは、サムリ殿!
お久しぶりです。
それにシルビ殿もご一緒!
と、いうことは完全に封印が解けたというわけですな!
いやあ、お帰りが少々遅かったゆえ、心配しておりました。
・・・って、勇者様は?

 

シルビ
あんた達の約束を無理して守ったせいで傷が相当悪化した。
今は獣人族の医師に任している。
ここへは来れない。

 

村長
なんということだ・・・!
おいたわしや、勇者様・・・。
そこまでして我々を守ってくださるとはなんという素晴らしいお方だ!
さすが、光の勇者様だ!!

 

 

口々にマリコを称えて騒ぐ村人達と警備隊員達。

 

 

ガラドゥの側近
素晴らしいという状況ではありませぬぞ、マリコ殿の怪我は。
何故そのような約束を押し付けたのですか?
理解に苦しみます。

 

村長
押し付けたわけではないですぞ。
約束とはなんですか?
勇者様は私達の現状を慮って行動をして下さったのです。

 

ガラドゥの側近
慮って、ではありますまい。
止めるべきだったのです。
大怪我を負っていたのですから。

 

村長
しかし、勇者様はお約束してくださった、絶対に我々を守ると。
それに勇者様はただの勇者様ではありませぬ。
光の勇者様です!

 

ガラドゥの側近
???
意味が分からぬ。

 

女医
私もよ。
貴方達、私はマリコさんの怪我がどんなに深刻か言ったはずよ。
マリコさんを止めなかった私に貴方達を責めることは出来ないけれど・・・。

 

シルビ
あ、先生。
マリコは後遺症は残らないようです。
先生の治療と治癒魔法のおかげだそうです。
ありがとうございます先生、それと、そこの隊員も。

 

女医
・・・それは良かったわ。
(胸をなでおろす女医)

 

警備隊員
そ、そんな!!
こ、光栄でございます~~~~~~~~~~~~

 

シルビ
お前には後でついてもらってもらう。
マリコに治癒魔法をまたしてもらいたい。

 

警備隊員
へ?
で、でも魔物が・・・・・・

 

シルビ
へたれこいてるんじゃねえよ、馬鹿隊員が。
これだからありがたみが減るんだ。
これでも、本当はあんたには感謝しきれないほど感謝してるんだ。
あんたの身の安全は保障する。
帰るときも送る。

 

 

鬼のような形相で隊員をにらめつけるシルビ。
其の様子に身震いがした隊員。

 

 

警備隊員
わ、わかりました・・・!
それなら・・・・・・。

 

ガラドゥの側近
それは私が引き受けましょう。
シルビ殿の出る幕ではありますまい。
取引も再開する会議もしたいことですし。

 

シルビ
ありがてえ。
マリコを二度とここへは戻らせたくはないしな。
てか、戻らせねぇ、マリコが何を言おうともだ。
なんせ、こいつら、今度は何をマリコに頼むか分かったもんじゃねえ。

 

村長
な、何を仰いますシルビ殿。

 

シルビ
マリコはあんたらの使い走りじゃねえ。
俺達には別の目的がそもそもあるんだ。

 

ガラドゥの側近
私達獣人族がいるんですぞ、村長殿?
別段マリコ殿に頼ることもありますまい。
以前どおりに、困ったことがあれば我々を頼ってくだされば良いのです。

 

村長
で、ですが。

 

ガラドゥの側近
???

 

シルビ
そんなに光の勇者様を村で独占したいのか。
言ったはずだ。
俺達には他に目的がある、と。

 

 

シルビのあまりの迫力に顔をこわばらせる村長。

 

 

ガラドゥの側近
・・・。
そういうことです。
村長殿も・・・皆様も分かってください。

 

村長
は、はい~~~~~~~

 

ガラドゥの側近
こんなに変な村でしたかな、ここ。

 

 

村人達には聞こえないような小さな声で言うサリム。
何か、シルビが言っていたことが分かり始めたサリムだった。

 

 

続く
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