岩山編(12)

眼を覚ますマリコ。
それに気がつき、身を乗り出すシルビ。

 

 

シルビ
マリコ!?
俺が分かるか?

 

マリコ
当たり前じゃない。
何言ってるのよ、シルビ。

 

シルビ
・・・。
お前の怪我は深刻だったんだぞ。
まあ、お前はどんなに痛くても深くは考えないだろうがな。

 

マリコ
別に痛くないわよ。

 

シルビ
嘘は疲れるっていつも言っているぞ。

 

マリコ
・・・。
なんでそうなるのよ。

 

シルビ
とにかく絶対安静だ。
今度こそ、医者の許しが出るまでは動くな。

 

マリコ
なんでよ。

 

シルビ
あのアホ眷族を倒して結界は消えたし魔物の数も減って力も弱まった。
それに獣人族は外に出れる。
俺達が動かなくても、どうにかなる。

 

マリコ
じゃあ、魔王は!
放っておくって言うの!?

 

シルビ
・・・アホか、お前は。
特攻すればいいと思うな。
今のお前は何の役にも立たない。
自分でも其の程度のことは分かっているはずだ。

 

マリコ
・・・。

 

 

********************************

 

 

最初、挨拶したいと言ったマリコの言葉をガラドゥは断った。
医師の許しを得るまでは入室はしないと。
実際、医師は数日間はシルビ以外は面会謝絶にした。

 

 

そして三日後。
ガラドゥは入っていいという医者の許可が出た。

 

 

シルビ
ガラドゥのおっさん、入ってくれ。

 

ガラドゥ
・・・そうか。
では、失礼するとしよう。

 

 

病室に入るガラドゥ。

 

 

マリコ
治療して頂き、感謝します。
そして迷惑をおかけしました。

 

ガラドゥ
それはともかく・・・起き上がって平気なのか?
相当な火傷だと聞いた。

 

マリコ
平気です。
気にしてくださってありがとうございます、族長さん。

 

ガラドゥ
話は大方シルビ殿から聞いている。
ずいぶんと酷い目にあったようだな。

 

マリコ
酷い目になどあっていません。
こんなこと、今まで散々苦しんできた人たち、そして死んでしまった人たちに比べればたいしたことはありません。

 

ガラドゥ
・・・。
貴殿が隣の大陸で名を馳せている勇者だったとはな・・・。
女性とは聞いてはいたが・・・こんな小さな娘御だったのか・・・。
ここの大陸の者たちは貴殿のことは噂でしか知らぬ。
それにしてもデルタ村の者たち・・・。
いくらシルビ殿がついていたとはいえ噂一つで小さな娘御を戦いの場に送り込むとは感心しない。

 

 

マリコはシルビが何か余計なことをガラドゥにしゃべったのではないかと思い、シルビを軽くにらめつけた

 

 

マリコ
小さくとも私には勇者としての誇りがあります、族長さん。
苦しむ方々を見放す事など、何故出来るでしょうか。

 

ガラドゥ
しかし、ここまで来る必要はなかったはずだ。
そのような大怪我を負っていたのだからな。
何故来た。

 

マリコ
約束をしたのです。
何があっても守る、と。

 

ガラドゥ
守る・・・。
だが、それは身を守るという約束ではないのか?

 

マリコ
そうです。
ここへ来るまでも危険がありました。

 

ガラドゥ
・・・。
魔物の数も減ったし、力は弱まった。
警備隊に任せておけばよかったのだ。

 

マリコ
族長さん、私は光の勇者です。
何があっても守り抜く、そう誓った。
私は光の勇者。
それは私の誇り、私の絶対。

 

 

決意をこめた眼をしたマリコ。
そんなマリコに、ガラドゥは疑問を覚え始めた。
他の者でも出来る事を大怪我負っているのに来た、それはおかしな事だと。

 

 

ガラドゥ
族長さん・・・ではなくガラドゥでいい。
敬語もなしだ。
そなたらは一族の者ではないし恩もある。
・・・。
改めて一族を代表として礼を申す。
(深々と頭を下げるガラドゥ)

 

マリコ
当たり前のことをしただけ。
それに・・・魔王のこともあるわ。

 

ガラドゥ
・・・それもシルビ殿から聞いている。
我々が封じ込められたそもそもの原因は魔王が関わっているようだな。
理由はよく分からぬが、伝承が本当ならば考えられない行動ではないかもしれぬ。

 

 

顔を見合わせるシルビとマリコ。

 

 

マリコ
ってことは・・・なんだかんだで、少しは知っているって事よね・・・。
あ、じゃあ、地下都市って知ってる?

 

ガラドゥ
そういえば、そんなことをシルビ殿が言っていたな。
この岩山を封印した眷属が言い残したとか・・・。

 

マリコ
そうなのよ!

 

ガラドゥ
伝え聞いてはいる。

 

マリコ
どんなところ、どこにあるの!?

 

ガラドゥ
隣の砂漠の皇国メイラにある、と言い伝えにはある。
だが、それ以上はわからぬ。
700年以上前の地図はもはや存在しないな・・・。

 

マリコ
でも、メイラにあるのよね・・・じゃあ・・・!

 

ガラドゥ
(マリコの言葉をさえぎるように)
マリコ殿、またしばらく横になるがいい。
話の続きはまた今度にするとしよう。

 

 

マリコの次の言葉を待たずにすたすたと病室を出て行くガラドゥ。
これ以上会話を続けるのはマリコの体に障ると判断したためである。

 

 

続く
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